【2017年9月24日】デヴィッド・ボウイ、今の世界情勢を歌う (歌った)

先日のブログで、フランキー・ゴーズ・トゥ・ハリウッド「トゥー・トライブス」を紹介した際に、「今のアメリカや日本でこんなPV作ったら、一体どんな反応が…」と書きましたが、イギリスでは北朝鮮問題について歌って、PVまで作っている方が既にいました。それも、ユーモアに包んで。さすがはイギリス人です。知人に教えてもらいました。

 

 

 

デヴィッド・ボウイ「素晴らしき航海」 (’79年) を、イギリスのスティーヴィー・リクスというコメディアンが「David Bowie – Song For North Korea (Fantastic Voyage) と題して歌っているPVです。
ボウイに扮して、ボウイの歌真似をしてはいますが、歌詞やメロディは原曲そのまんまで、いたって真面目に真剣に歌っています。
この歌詞が、38年前に書かれたにもかかわらず、まさに今の北朝鮮問題を歌っているような内容です。そして、そんなプレッシャー (抑圧) の中で生きていくことについて歌っています。

 

この曲は、アルバム「ロジャー」(’79年) の1曲目です。そして生涯最後となったツアーのセットリストにも入ってました。この曲と「ラヴィング・ジ・エイリアン」(’84年) は、当時は意外な選曲だなあと思ってましたが、今になって、ようやく納得しました。ちなみに「ラヴィング〜」は、人種間問題を歌った歌で、こちらもメロディが際立って美しい曲です。ライブはアコースティックのセットで演奏していました。当時のボウイは、単純に「世界」を歌いたかったのでしょう。
実はこの「素晴らしき航海」、今まで、何を歌っているかは大体掴めていましたが、正直言って今ひとつピンとこない歌でした。メロディが良いのとアルバム1曲目なので、よく聴いてはいましたが、ボウイにしては、なんか客観的だなあ、人ごとのように歌っているなあ、と。
そして発表から約40年、このような世界情勢になり、自分の身にも降りかかってきて、ようやく飲み込めた気がしました。

 

以下、全文訳を載せますので、ぜひ読んでみて下さい。

 

 

 

素晴らしき航海

 

この素敵な航海も長く続かず途中で腐り崩れる
だから私達は順調に年老いることができない
でも、これだけは確認しておこう
人間すべての尊厳の確立も大切だが
いま、こうして、なんとか生きていること自体
同じく大切だ

 

私達は抑圧の下で生きるコツを覚えつつある
もちろん抑圧されて生きたいとは思わないが
でも、どうにか、生きていけるんじゃないか

 

文明が高度に発達した世界で、人間は不完全
揺れ動く世界だが それが
軍備や戦争の理由にはなるまい
私達は自分達を父なし子の無用人間だと思おう
そう覚悟して生きることだ
もう二度と私達は、かっこいいことや
気の利いたことを言わないだろうから

 

訳 : 岩谷宏

 

 

 

教えてくれた知人によると、このPV情報は、訳者の岩谷宏氏のブログのコメントにあったとの事です。早速見てみました。YouTubeにもリンクがされていました。尚、上記の英題で検索するとYouTubeの閲覧ができます。