【2017年12月9日】あるエレクトロニカ・アーティストの紹介です

ドイツのエレクトロニカ/アンビエントのミュージシャンに、フリム (Flim) という方がいます。アルバムも10枚程?リリースしていて、そのうちの数枚は、日本盤でも発売されています。
この方の音楽は、いわゆるミニマル・ミュージック (音の動きを最小限に抑え、パターン化された音型を反復させる音楽。ウィキペディアより) で、昔のブライアン・イーノの環境音楽のエレクトロニカ・バージョンといった趣きが感じられます。

 

 

 

 

その10数枚のうちの一枚に「Pola Music」(’06年) というアルバムがあります。クレジットによれば、5枚目です。
このアルバムは、ピアノ、ギター、ハーモニカ、オルガンなどアコースティック楽器に 家族の声や小鳥のさえずり、自然音、などが、MDレコーダー1台のみで録音されています。つまり、パソコン内で作られた他のアルバムとは、楽器構成は勿論、制作環境も180度違うわけです。

 

 

ところが実際に奏でられている音は、この音が実はフリムさんの他のエレクトロニカなアルバムで表現したかった音なのでは、と感じるほど、見事に他のアルバムと繋がっています。
そして、最も人工的であるようなエレクトロニカ・ミュージックが、一回転してこのような音楽になるのだという事に、感動しました。ある意味、これが発展形というか到達点なのではないかという気もしました。
自然音や家族の声なども、見事に音楽として、曲の一部として溶け込んでいますし、悪い録音環境の音も、逆にそれがいいのではと思える程の、悪良い (私の造語) 音像です。

 

 

グリッチなどのエレクトロニカのノイズは、突き詰めると自然音なのかなと。ノイズはある意味自然音だから、上手く鳴らすと気持ちよく聴こえるのかなと。
例えば森林や海や山など、豊かな自然に囲まれている場所へ行くと、目に映る景色の開放感にプラスして、聞こえてくる音響でも心がリフレッシュされるように、ある種のエレクトロニカ・ミュージックにも、間違いなくそのような効果があります。フリムさんの音楽もそのひとつです。かといって、このアルバムは決してフィールド・レコーディングの一種ではありません。

 

 

 

 

アコースティック楽器とレコーダー1台のみでも、そんな極上のアンビエントなエレクトロニカの音世界を表現するフリムさん。只者ではないなあ。

 

 

 

 

 

 

この手のアルバムでは珍しく日本盤、しかも紙ジャケ。画像はジャケットとCDの帯の解説文です。
いつもは捨てる帯が、奇跡的にジャケット内に入っていました。紹介文が面白かったのでとっておいたのだと思います。