【2018年1月2日】雅楽のタイム感と、エレクトロニカとの親和性

お正月ということで「雅楽」をネタにしたいと思います。

 
お正月になると、どこに買い物に行っても鳴っているBGMがあります。クリスマスでいうと「サイレント・ナイト」のような曲です。箏 (こと)の音色に尺八が絡んでくる「春の海」という曲です。誰もが絶対に聞いたことのある曲です。
この曲は「西欧の音楽に影響を受け作曲した作品」(ウィキペディア) で、純粋な雅楽ではないらしいですが、間というかタイム感や音の響きは、日本の伝統音楽そのものという気が私にはします。
私だけでなく、多分ほとんどの方はそう感じているのではないかと思います。

 
数年前からエレクトロニカを聴きはじめて、このジャンルの音楽には、いわゆる正確なリズムを刻まない、雅楽のようなゆったりとしたタイム感の曲がすごく多いことに気が付きました。逆に言えば、私の耳がそういう音を求めたとも言えますが。
この前このブログに上げたドイツのフリムさんの音楽など、スケールが西洋音階でなく雅楽の律音階 (レミソラシの5音階) だと、そのまま雅楽になりそうです。
そして、昔は自分の聴く音楽だと思っていなかったそんな雅楽の類いやアンビエントなエレクトロニカが、今の自分の耳には心地よく響きます。

 
それで思ったのは、雅楽をエレクトロニカの音像で演った音、あるいは、エレクトロニカを雅楽風にアレンジして演った音、そんな音楽があるんじゃないかと。
という訳で「雅楽 エレクトロニカ」で検索したところ、予想通り、そのような音楽を演っていらっしゃる方々が、ネットにも結構上がっていました。今の世の中、音楽は本当に自由になってきています。

 
いろいろ聴いてみて、今のところオススメは、「Harp On Mouth Sextet 」という日本のバンド。PCと自作の和楽器(パーカッション)とハーモニカで、雅楽を独自の解釈で演奏しているバンドです。ハーモニカの持続音が雅楽に妙にマッチしています。
一般受けはしないと思われますが、音楽性や演奏のクォリティは高く、私には出来そうもない音楽です。脱帽しました。

 

 

一方では数百分の一秒までコントロールされた、隙間なく音がギッシリ詰まった、ハイテクノロジーを駆使した同期音楽が量産されている中、一方の音楽世界の辺境 (?) では、同期リズムから逸脱したasync (非同期) な音楽を求める人が、私だけではなく、集合的無意識のように増えてきていることに、ちょっとした安心感を覚えます。
私の感覚としては、どっちに偏っても不自然な気がしますが。

 

 

 

 

 
Harp On Mouth Sextet の、これはパフォーマンスの様子。小鳥のさえずりや山鳴りなどの自然の音も、音楽の一部として聴けます。