【2018年1月18日】ミート・イズ・マーダー?

 

 

今朝の記事から。
スイス政府は、ロブスターなどの甲殻類を生きたまま熱湯に入れてゆでる調理法は、苦痛を与えるとして禁止する改正動物保護法を3月1日から施行することを明らかにした。

 

 
ロブスターを「モノ」として扱っていたのを「他者」として扱う、とした法律です。日本だと絶対にこんな法律は生まれません。というか、私には発想すら出来ませんでした。

 

 

他者として扱う、とはどういうことかと言うと、つまり「自分が同じことをされたら嫌だなあ」ということをしない、相手の立場をリスペクトする。そんなことではないのでしょうか。
人間に食べられる立場のロブスターに対して、「私は、私が生きていくためにあなたを食べます、どうもありがとう」と感謝して下さい、と人々に促すような法律です。

 

 

 

「少年ジャンプ」に「約束のネバーランド」というマンガが連載中です。一口で言うと、人間を食する鬼と生き延びようとする人間の物語です。面白いので、週一で行く行く定食屋で毎週読んでいます。

この物語のシチュエーション、実は今の人間社会の、人間と動物 (家畜) の関係を、単純にひっくり返しただけです。
鬼が人間で人間が鬼なら、ごく普通の人間の日常的光景です。家畜を飼って、殺して、食べて、という。

 

 

その立場をひっくり返しただけで、何故こんなに面白い物語になるのかというと、鬼と人間、それぞれが他者として対峙しているからです。今、私たちが肉や魚を食べる時、その肉や魚は「エサ」であって、「他者」だと思っていません。(逆に言うと、だから口にすることが出来る)

 

 

遠い国の法律ですが、「個人」を尊重するヨーロッパ人らしい法だと、朝からいろいろ考えさせられました。(「個人」は人間に限らず、です)

 

 

 

 

イギリスの反骨のロック・アーティスト、モリッシーさんの、ザ・スミス時代の傑作「ミート・イズ・マーダー」(’85年)。
「食肉は殺人である」と断定しているのが、この人らしい。もちろん菜食主義者。
菜食主義は、農耕民族であり、欧米ほど野生の動物たちと対峙してこなかったと思われる日本人には、今ひとつピンとこない思想だという気がします。欧米のアーティストでは、菜食主義者はものすごく多いです。これは善悪の問題ではありません。