【2018年1月19日】前々回の続き 〜 尾崎豊さんのメロディを槇原敬之さんが歌う

前々回「美メロは狂気?」で槇原敬之さんに触れた際に、更に思ったことです。

 

 

 
かの尾崎豊さんのトリビュート・アルバムに、「ブルー」と「グリーン」があります。両方とも2004年にリリースされています。
ブルーは、当時売れていたアーティストがメイン、グリーンはインディーズ・シーンで活動されているアーティストがメインで、それぞれ構成されています。

 

 

そして「ブルー」の方のトリで歌われるのが、槇原敬之さんの「Forget-me-not」です。(正確には、エピローグ的な曲が次に入るのでラスト曲ではありませんが)
このカバーが、月並みな表現ですが、本当に凄い歌唱です。それまで私は、マッキーは単にヒット曲の多いJ-POPのシンガー・ソングライター、ぐらいにしか思っていなかったのですが、この曲を聴いて、その心の闇の深さが垣間見えた気がして圧倒されました。
当時の音楽好きの同僚は、この「Forget-me-not」を聴いて泣いてしまった、と語っていました。その気持ちはよく分かりました。大袈裟な感想ではないと思います。

 

 

「ブルー」「グリーン」リリースから数ヶ月後に、槇原敬之さんはニュー・アルバムをリリースしました。「エクスプローラー」というアルバムです。「Forget-me-not」のショックと、「世界に一つだけの花」のセルフ・カバーをしているということで、楽しみにして購入しました。槇原敬之さんのアルバムをちゃんと聴いたのは、これが初めてです。

 

 

槇原敬之さんの曲は、流して聞いても心地よく、集中して聴くとサウンドや歌詞をいくらでも深読み出来る、そんなポップスです。自己憐憫を全く感じさせない乾いたメロディと、「前向きな決意」「しあわせの光景」のみを歌っているところが潔いなあと思います。
それでも、端々に「闇」を感じます。でも闇があるからこそ光は眩しく映ります。「エクスプローラー」は、そんな眩しい光を感じさせるアルバムでした。

 

 

「ブルー」「グリーン」に参加したアーティストたちの一部が集まって、追悼ライブも行っています。そのライブのDVD「ザ・ナイト」を観ても、そこでも大トリのマッキーの存在感は圧倒的です。思わず息を止めて見入ってしまいました。それにしても、このライブの雰囲気は、お通夜、お葬式のそれです。拍手は曲の始まりと終わりだけで、皆んな、ただ静かに聴いているだけです。

 

 

 
尾崎豊さんについて書こうと思っていたら、槇原さんのことばかりになってしまいました。稿を改めて、そのうち尾崎豊さんに触れたいと思います。

 

 


左下から順に、「ブルー」「グリーン」、左下「ザ・ナイト」、そしてマッキーの「エクスプローラー」。