【2019年1月13日】先日の続き 〜 レゲエの魅力について、坂本龍一発言から

 

 

先日自曲のレゲエのグルーヴについて少し触れましたが、数日前に関連する興味深い記事が上がっていました。

坂本龍一さんがナビゲーターを務める「RADIO SAKAMOTO」で、編集者でライターの若林 恵さんをゲストに迎えてのお話です。

 

 

その話の中で “跳ね返される音楽” について言及されていました。

 

 

坂本:僕が跳ね返されたのはレゲエです。

若林:「レゲエ、わかんねえ」って感じですか?

坂本:わかんない。何がいいんだろうと思う。

若林:面白い。

坂本:たぶんいいんだろうと思って、わかんないんだけど聴き続けて、面白いってなるまでに2年かかりました。

 

「ある日突然、レゲエ空間が見えた。幾何学的な空間」と坂本。それ以来、レゲエを面白く聴けるようになったと言います。

 

 

面白くなるまで聴き続けたというのも凄いですが、この感覚はとてもよく分かります。面白くないなら聴かなきゃいいじゃないと思いますが、そうではなくて、「この音は絶対に良く聴こえる筈だ」「自分に必要な音楽だ」との確信が、何故か直感としてあっての事だと、そんな気がします。坂本さんのレゲエ場合、直感に意識が追いつくまでに2年かかったという事なのでしょう。私にも、そんな音楽は多々あります。

 

 

その、2年かかった結果が後々の音楽性に影響を与え、見事に花開いています。

坂本さんの初期のアルバム「千のナイフ」「B−2ユニット」は、それぞれレゲエ・ダブの影響が色濃く出ています。まさしく「レゲエ空間・幾何学的な空間」(レゲエの魅力を一言でまとめた、的を得た上手い表現だと感心) を感じさせる音楽です。それぞれ’78、’80にリリースされていますが、この時期にここまでレゲエ・ビートを地肉化していたのは、あとは細野晴臣さんぐらいじゃないかなあと。今のビート・ミュージックと一緒に聴いても全く色褪せて聴こえません。

 

 

坂本さんの曲はレゲエ調でなくても、鳴っていない筈のバック・ビートが強烈に感じられます。例えば「戦メリ」を、「エナジーフロー」を、頭の中でレゲエにアレンジして鳴らしてみて下さい。割と簡単に想像出来ますよね。坂本さんにとってレゲエは「必要な音」だったのでしょう。

 

 

 

 

軽快なレゲエ曲「ムーヴィング・オン」(‘94) を演る坂本さん。こういう曲をもっと作ってほしいんだけど、もうやらないんだろうなあ。。