【2019年1月21日】「僕らの哲学的対話 棋士と哲学者」読んでます

今日は朝から雪が降り続く読書日和。先日購入した本を読んでいます。

 

 

 

「僕らの哲学的対話 棋士と哲学者」は、哲学者である戸谷洋志さんと将棋のトップ棋士の一人である糸谷哲郎さんの、昨年末に出版された対話本。出版社の紹介文の冒頭には「これは哲学者と棋士という異色顔合わせによる哲学的対話の記録です。」と記されています。

 

 

哲学者と棋士の対話と言えば、異種格闘技的な内容を想像してしまいますが、この本はそうではありません。第1章「勝負論」第2章「「AIとどう向き合うか」は、それなりに各々の職業フィールドに基づいた対話ですが、第3章「哲学と社会の関係」第4章「僕らの幸福とは」は、完全に二人の哲学者の哲学についての対話と化しています。

 

 

それもそのはずで、棋士の糸谷さんは、棋士業の傍ら阪大で哲学・思想文化学を研究、大学院まで進み修士学位を取得しているツワモノです。とてもユニークな将棋を指される方です (そのユニークさは、残念ながら棋士の解説がないと私には分かりませんが)。このお二方は阪大の大学院で同じ研究室に所属していたとの事です。

 

 

どこから読み始めても面白い本で、私は第1章、2章をパラパラと飛ばし読みして、第3章から読み始めています。第3章の最初からハイデガー哲学についての言及をお二方ともされています。

 

 

「最初は『生と死』というテーマを扱っているところに興味を持ったんです。でも、実際に読み始めてみると全然違った。『人間はどう生きているか』ということを話しているのが非常に面白かったんです。…」(糸谷)

 

「…人間の日常の世界は何もかもが当たり前になっていて、意識しなくても行動できる。ところが人間は「死の不安」に直面した時、こうした世界の自明性が崩れていくとハイデガーは言っているんです。その時初めて、人間は自分本来の生き方ができるようになると。すごくざっくり言うと、そういう思想です。…」(戸谷)

 

 

若い頃ハイデガーを読もうとして挫折をした私には、この語り口はとても分かりやすくて呑み込めました。まだ読了していませんが、何度も手に取る本になりそうです。