【2019年2月13日】新曲のトラック、アウトライン出来上がりです 〜 デヴィッド・ボウイ「ロウ」「ヒーローズ」のインスト曲考察

数日前に生まれた新曲 (仮題「サカモト風」) のトラック、完成に近づいてきました。当初はボーカル曲にするつもりでアレンジしていましたが、作り込むにつれてインスト曲でもいいような気もしてきました。曲の世界観がそれなりにハッキリとして聴こえるからです。

 

 

ところで、世に流通する9割がたの商業音楽は歌曲です。インストのみでの大ヒット曲はそうそうありません。声の訴求力は、どんな楽器よりも良くも悪くも勝ります。

そしてボーカルどころかインスト曲でも、その中に「声」がほんのワンコーラスとか入るだけで、楽曲の雰囲気そのものが大きく変わって聴こえます。

御多分に漏れず、私が普段聴く音楽も、一部のエレクトロニカ/アンビエント以外は、殆ど声が入っているものです。

 

 

 

そんな事を考えていてふと思い出したのが、デヴィッド・ボウイさんの’70年代の有名な連作アルバム「ロウ」と「ヒーローズ」(共に’77年)。

そのどちらも似たような構成です。ザックリ言うと、当時のLPレコードでのA面がボーカル曲、B面がアンビエントなインスト曲です。盤をひっくり返して聴くというレコードの特性を上手く利用したなあと感じます。

 

 

当時はどちらのアルバムも、A面もB面もそれこそ擦り切れる程聴いていたのですが、段々と「ヒーローズ」のB面は聴かなくなっていきました。

何故聴かなくなっていったのか。その理由は、10数年後、’70年代のアルバムがCDとしてリリースされた際、「ロウ」「ヒーローズ」を購入して、CDなのでひっくり返さずに通して何度も聴いて、よく分かりました。

 

 

 

「ロウ」のB面は「ワルシャワ」で始まり「サブタレニアンズ」で終わります。この4曲、実は純粋なインスト曲は「アート・ディケイド」一曲のみです。あとの3曲は途中に声が入っています。そして曲によっては数フレーズながら歌っています。言葉は英語ではない、まるで原始人の祈りのような歌を。

 

 

つまり私は、「ロウ」のB面は、歌曲として聴いていたんだと、CDを聴きながら思ったものです。今あらためて聴くと、「ワルシャワ」と「サブタレニアンズ」は、やはり出色の出来栄えに聴こえます。

そう感じるのは、トラックが優れている事もありますが、両曲ともに数小節ながらもその圧倒的なボーカル・パフォーマンスからです。歌好きの私は、そこを聴いていたんだと。(両曲とも、もしカラオケがあったら普通に歌えます 笑)

 

 

 

「ヒーローズ」のB面の組曲「センス・オブ・ダウト」〜「ノイケルン」には、声が一言も入っていません。そして一聴して「ロウ」よりも穏やかです。当時は「似たようなインスト群」として、両アルバムのB面曲を捉えていたのですが、目指している地点が全然違うのではと、今聴くと感じました。

 

 

しかし、最後の「ノイケルン」には、「ワルシャワ」や「サブタレニアンズ」と同じ匂いを少し感じます。この曲にボーカルを入れたら?「ワルシャワ」並みの歌曲になるのでは?そう感じました。(代わりにサックスが歌っているようです)

カバーして、歌詞を付けて歌メロを入れて歌ってみようかな。。

 

 

 

 

左上から「ロウ」「ヒーローズ」、そして、インスト曲ばかりを集めた「オール・セインツ」(‘01年)。

 

 

右のシルバー盤「ヒーローズ」は、’91年に初CD化されたもの。左「ロウ」は’07年リマスター盤。’91年盤は、どのアルバムにも貴重なボーナス・トラックがついていて(「アラディン・セイン」以外)、しかもレベルが高くて大満足でした。

「ロウ」「ヒーローズ」にも、それぞれ数曲入っていて、その中にも高レベルのインスト曲があるので、ボウイさんは当時こういう音にハマっていたのだと推測されます。