【2019年4月17日】「音楽は空気の振動に戻りつつある」〜 コーネリアスのインタビュー記事より

 

 

 

コーネリアスのインタビュー記事がyahoo!ニュースに上がっていました。この人のインタビューを読むのは、ほんとに久しぶりです。

コーネリアス (小山田圭吾さんのプロジェクト名です) は、かつての「渋谷系」のトップランナーの一人です。20数年前とかのインタビューでは、悪ノリの冗談や適当な事ばかり喋っていて、インタビュアー泣かせの人でしたが、このインタビューでは普通の事を普通に喋っていて、ちょっと感慨深く感じました。

 

 

 

このインタビュー記事のタイトルは「音楽は空気の振動に戻りつつある」。自分のことよりも、音楽業界、音楽の今日的な聴かれ方、そして音楽自体について語っている、結構長い記事です。

面白いのは、コーネリアスは、最先端の人のようでいて実は結構古臭い?音楽観を持っていて、自分でもそれをよく分かっていて、それを客観視して語っているところです。

 

 

ストリーミングはすごく便利なのだけど、所有欲を満たせない。音楽好きな人には、そういう気持ちになる人はけっこういるんじゃないかと思いますね。自分はアナログ盤で育ったので、アナログ盤に対する愛着がある。…

 

 

そう言えば、かつてのコーネリアスの歌詞にも、レコードとかカセットとかの言葉が使われていました。

私もアナログ盤 〜 CDの世代で、ダウンロードやストリーミングは利用しませんが、その理由を、一言「所有欲」とバッサリと断言していて、とても共感出来ました。

「音楽を聴きたい」という欲求と「作り手の作品を所有したい」という欲求の、二つを満たす為に、アナログ盤やCDを買うという事です。

 

 

 

それで、タイトルの「音楽は空気の振動に戻りつつある」です。この言い方、とても詩的な表現で、まるでコーネリアスの歌詞みたいです (笑)。

コピー (複製=アナログ盤やCD) に金銭的価値が生じた時代は既に終わりに向かっていて、モノとして金銭取引されない「無価値」なものに、音楽はなりつつあるという事を仰っているように感じました。レコード業界のような大きなマーケットは、本来の音楽の姿ではないんじゃないかと。

 

 

この「無価値」は、肯定的な意味として捉えたいです。私も過去に何度も「無料化大歓迎」「音楽で大金が動かなくなったのはとてもいい事」と書いていますが、我が意を得たりと、読んでいて思いました。

音楽に限らず、金銭的価値というのは、一方が持っていて、もう一方が持っていないという格差があるから生じるのであって、皆んなに行き渡るとその価値は消滅します。昔、数万円でやり取りされていた「海賊盤」が、ネット動画の普及で誰もが観れる・聴けるようになり、金銭的には無価値になったのは、そんな理屈からです。

 

 

けれども、一部の人に大金が動かなくなってはいますが、昔に比べるとミュージシャンの数もケタ違いに多く、インターネットにより、人々の生活にもしっかりと根付いています。私のような普通のおじさんでも、普通に音楽を作って発信して、若干数ですが聴いて下さる方がいる、そんな恵まれた時代です。

たとえ音楽で大儲けする人が、◯◯年後には今の数分の一になっても、ミュージシャンの数自体は、数倍に増えている筈です。インタビュー記事を読んで、そんな音楽の明るい未来を想像しました。

 

 

 

奇妙な現象   空気振動

 

We need music

 

ーーコーネリアス「ミュージック」より

 

 

 

 

 

記事中に挿入されていた、音楽業界の売上グラフ。体感では、グラフに反比例して音楽人口は増えているように感じます。