【2019年6月12日】最近購入したCD 〜 オムニバス「グリッター・イズ・ゴールド」、エルヴィス・コステロ「ザ・ベスト・オブ − ザ・ファースト 10イヤーズ」

 

 

 

「グリッター・イズ・ゴールド」は、ブライアン・イーノが設立したレーベルのコンピレーション・アルバム。イーノの他に、ジャー・ウォーブル、ハロルド・バッド他、アンビエント・ミュージックを奏でるアーティストたちで構成されています。

耳を傾けながら、このアルバムの曲たちのような、ビートもなくメロディも歌詞もなくただ音が空中に漂っているような、アンビエント・ミュージックの聴きどころについて考えてみました。

 

 

 

説明しても伝わりにくいので、例えて考えてみます。

ハードなロックが肉や魚、メロディアスなポップスがケーキやアイスクリーム、の美味しさなら、アンビエント・ミュージックは、水やお茶の美味しさ。

犬や猫のように動き回らないし、インテリアのように人工物でもないし、動かないけどちゃんと息をしていてひっそりと生きている、観葉植物 ーー そんなような音楽。

 

 

こう書いていくと、更にその面白さが伝わりにくくなっていった気がしてきましたが、想像してる分にはとても楽しいですね。ゆっくりと動いていく時間、ゆっくりと変わっていく雲の流れ、日々の景色、季節、といった趣も感じます。

 

 

 

 

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もう一枚は、エルヴィス・コステロの初期、ジ・アトラクションズ時代のベスト。

 

 

私は少年時代にパンク/ニュー・ウェイヴを結構聴き込んでいるのですが、この人はスルーしていました。

理由は、他のパンク・バンド、ニュー・ウェイヴ・バンドに比べて、極めて普通に聴こえたからです。なまじっかメロディアスだったので、当時は聴かなかったのでしょう。

 

 

でもこのベスト盤を聴いて、知ってる曲が多い事にちょっとビックリでした。何だかんだで耳にして、心にしっかりと残っていたのでしょう。

時を経て、今になってじっくりと聴いてみると、やっぱりメロディの美しさが、当時のどのパンク・バンドよりも際立っています。それがテクニックで作られたメロディではなくて、天然だというのが、聴いたらすぐに分かります。

そういえばスピッツの初期もこんな感じだったかと。本人たちはパンク演ってるつもりでも、やたらとメロディアスで、パンクスには聴かれなかった、みたいな。

 

 

あと、音楽性の指向性です。

多くのパンク・バンドが ーー 有名なところでいうとピストルズやストラングラーズ、ジョイ・ディヴィジョンらが、破滅志向、マイナス志向だったのに対して、このエルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズや、ポール・ウェラーのジャムは、前述のバンドたちと同じように社会体制批判をしながらも、滅びの美学的ではなく、前向きで明るく、プラス志向に聴こえました。殺伐としていないというか。

変な言い方ですが、ポールもエルヴィスも、ヤク中や自殺などの自傷行為とは全く無縁なオーラが出ていました。そんなところも、当時敬遠していた理由です。(ジャムも当時は聴いていなかった)

 

 

 

レコードやCDに刻まれた音源は、当然のことながら不変です。変わって聴こえたとすれば、それは私の耳が変わった事に他なりません。

今となっては、ピストルズやストラングラーズは殆ど聴く事がありませんが、ジャムは今でも時々聴きます。エルヴィス・コステロ&ジ・アトラクションズもジャム同様、時々ですが必要とする音楽になりそうです。