【2019年7月10日】なぜ高音で歌うのか 〜 SOSを発する声

音源制作が一区切りついたので、というか無理矢理つかせて、過去曲のトラック及びボーカルの見直しを行い始めています。それで、いくつかの曲を聴き返して、ここ半年程でキー(音程)が上がっている事に気がつきました。

歌っていても聴いていても、気持ちがいいのは高音なのですが、歌う場合と聴く場合だと、その気持ち良さには違いがあります。

 

 

 

私が聴いていて気持ちがいいのは、その人の声の限界の高さで歌われている、そんな声です。裏声もカスレカスレで、ギリギリ感のする声です。だから私も自曲を作る際は、歌メロの一番高いキーを、そんな自分の限界に設定しています。

 

 

具体的にいうと、以前は「ソ」〜「ラ」だったのが、最近は「ラ」〜「シ」もしくは「ド」に上がっています。

一番最近作った「フレルココロ」は、トップが「シ」、「カーニバル」は「ラ」です。そして以前はコントロールが容易でなかったのですが、最近はこのキーも何とかコントロール出来るようになってきました。つまり単純に、歌い重ねているうちに、以前よりも上手くなったのでしょう。

 

 

 

何故そんなギリギリの高音が気持ちよく聴こえるのでしょうか。

多分、その人の最高音は、他者を求める・SOSを発する時の声だからではないかと思います。心がそんなSOSに反応して、響くのではないかと、そう思っています。シャウトも同様です。

 

 

逆に苦手なのは、余裕のある、いかにも気持ちよさそうに歌われる、伸びやかな高音です。でも世間的には、こっちの声の方が需要があるようです。

私は普通に気持ち良く歌うと、そんな伸びやかな高音になってしまうので、歌う際は、変な表現ですが気持ち良く歌わないように気をつけています。ぎこちなく、ギリギリな感じで歌いたいなあと。

 

 

 

それで、キーを上げて歌い直そうとしている曲は「ユメヒトヨ」です。この曲はコントロールが難しいので、しばらくぶりに歌ったら、見事に下手になっていました。練習が必要です。。歌い直して良くなればいいのですが。

 

 

 

 

絞り出すような高音が魅力の、ニューヨーク・パンクの伝説バンド「テレヴィジョン」のリーダー、トム・ヴァーレインさん。先日実家に帰って、ソロ・アルバムを見つけて思い出しました。私はテレヴィジョンの2枚と、ソロは4枚目まで聴いています。

パンクと呼ぶには違和感のある、あまりにも繊細な音です。

 

テレヴィジョンのデビュー作「マーキー・ムーン」(‘77年) と、ソロ二作目「ドリームタイム」(‘81年) が、特にヒリヒリした金属的な音で気持ちよく、よく聴きました。