【2019年11月5日】アナログ盤でしか聴けない音源たち 第二回 〜 ラフ・トレードのコンピレーション盤「レディオ・トゥエルヴ」

音楽好きの人が、知らないアーティストの音源を選ぶ際の方法の一つに「レーベル買い」というのがあります。特にインディーズの場合、レーベルごとに音楽スタイルが偏っていて、◯◯レーベルはこんな音、△△レーベルはあんな音、と、音の予想がつく訳です。

 

 

特に昔は今のようにインターネットがなく、情報は音楽雑誌とラジオくらいしかなかったので、レーベル買いは今よりも普及してたんじゃないかと。

何しろ若い頃は貧乏なので、レコードを購入する際はほんとうに真剣に選びました。ハズレに当たらないために、レーベル買いをしていたとも言えます。

 

 

私の若い頃は、ニュー・ウェイヴだと大手でヴァージン、次にファクトリー、ラフ・トレード、チェリー・レッドなど。ヒップホップだと、トミーボーイ、セルロイド、レゲエだとグリーンスリーヴズ、ワッキーズ、ハートビート、といったところで、知らないアーティストのレコードを漁っていました。

 

 

 

 

その、ニュー・ウェイヴの大手インディーズ・レーベルの一つのラフ・トレードのコンピレーション盤が、この「レディオ・トゥエルヴ」です。

 

 

 

 

上記のファクトリー、チェリー・レッドといったレーベルは音のカラーがはっきりしていたので、ハズレは引かない代わりに、意外性もありませんでした。

ところがラフ・トレードはそうではありませんでした。ノイズ、ネオアコ、シンセポップ…いろんなスタイルのアーティストが集まっていました。ちなみに稼ぎ頭は、ザ・スミスだったそうです。

なので私は、ラフ・トレードのレコードは、まずオムニバス盤を買って、その中で気に入ったアーティストの単独盤を購入する、という方法で、このレーベルのアーティストに接していました。

 

 

ラフ・トレードのオムニバス盤で有名なのは「クリア・カット」シリーズです。このシリーズは、日本で編集された、ラフ・トレードのコンピレーション・シリーズで、調べたら6枚もリリースされていました。私と同じように、このコンピ盤を重宝している方々が一定数いたのでしょう。

 

 

こちらのサイトに詳細が載っていました。アーティストや曲名まで全て記載されています。世の中には私同様の趣味の方がちゃんと存在しているんですね。

 

 

 

ラフ・トレード/徳間ジャパンコミュのラフ・トレード日本盤を象徴するシリーズ

 

 

 

 

この「レディオ・トゥエルヴ」は’83年にリリースされています。つまり、ニュー・ウェイヴの終焉期です。チェリー・レッド同様、淡々としたネオ・アコのはしりのような楽曲中心です。

実に渋い佳曲が多く、密かな愛聴盤でした。ウィーク・エンドの数曲と、アズテック・カメラの「ウォーク・アウト・トゥ・ウインター」(12インチ・ヴァージョン) を好んで聴いていたと記憶しています。

 

 

ネオアコ的なアコースティックでスカスカした楽曲にダブ的音響処理を施した楽曲など、今聴き返すと、一回りして新鮮に感じるんじゃないかと。針を落とすのは老後の楽しみにして、大切に保管しておきます。