一昨日、七尾旅人さんの新曲「きみはいるかな (戦地の家族たち)」が、サウンドクラウドにひっそりとアップされました。おなじみのアコギの弾き語りスタイルで、アルバム「リトル・メロディ」を思い出す楽曲です。
この曲は「昨夜、(ガザ、シリアなど)戦地にいる小さな家族を思い浮かべながら、歌を作りました。」(七尾さんのブログより) という歌です。
かつての東日本大震災後の「圏内の歌」のような、弱者にそっと寄り添った優しい歌です。
七尾旅人さんのアコースティックな曲を聴いていると、まるで小さな子どもの頃に母親が寝しなに唄った子守唄のように聴こえる時があります。(←実際そんな体験は憶えていません。想像上です)
メロディの懐かしさ・普遍性と歌声から、そう感じるのだと思います。
この曲「きみはいるかな (戦地の家族たち)」も、そう聴こえました。
東日本大震災を経て「リトル・メロディ」がリリースされた時、あまりにも普通の音で、それでいてメロディが豊かで優しい歌ばかりで、それまでのファンは驚いたんじゃないかと思います。一貫して「混沌とした自分」を歌ってきた七尾さんが「他者」を歌った、そんなアルバムだったからです。
母親が子どもに寄り添って歌うように、弱者にそっと寄り添って静かにうたわれた歌たちは、私には、昔聴いたルー・リードさんの弾き語りの歌たちと同じように聴こえたものです。
そういう人はわりかし多いと思いますが、私は災害とか犯罪で人が死ぬニュースが大嫌いで、だから悲惨で大きなのがあったら、ニュースはなるべく見ないことにしています。気分が滅入ります。
ニュース自体もですが、100%他人事感丸出しで喋っている、アナウンサーやコメンテーターを見聞きするのが嫌だからです。
ニュースをちゃんと見れないんなら、せめて歌はちゃんと聴かねば、そう思っています。
客観的で無責任なアナウンサーの言葉を聞くより、好きなアーティストの歌の方が、よっぽど深くその事象が心に入ってきます。
七尾旅人さんの新曲を聴いて、あらためてそう思いました。
私が聴いた時点で、660回再生されていました。
それからどれだけの人が聴いたんでしょうか?