【2020年7月31日】夏の朝にジョニ・ミッチェル「夏草の誘い」を聴く

先日から実家に帰ってアナログ盤を聴いていました。聴いていたのは主に’70年代のアルバムたち。

イーノの初期の歌モノ、シド・バレット、ピーター・ガブリエル、スパークス…。どれも、普段ではほぼ聴かない音源ばかり。

 

 

いろいろ聴いてて思ったのは、色褪せて懐かしい音が多い中、時代を超えた瑞々しさを感じるのも、時々あるということ。

 

 

 

 

 

今聴いている、ジョニ・ミッチェルさんの’70年代の作品「夏草の誘い」(調べたら’75年リリースでした) は、まさにそんな一枚。

 

 

このアルバムは、シンガー・ソングライター然とした初期から、この後の数枚のジャズっぽい音のアルバムたちへの、橋渡し役のような音です。

私はこのアルバムが大好きで、ジョニさんのアルバムの中で、一番よく聴いています。CD音源でも時々聴いていますが、こうしてアナログで聴くと、聴きすぎた為にところどころで入るノイズが、あの頃の日々を感じさせて、ちょっと胸熱でした。

 

 

 

まず、ジャケットが素晴らしいです。

 

 

 

 

 

ニューヨークの郊外?とおぼしき、緑に囲まれた場所で、何やら怪しげな儀式が行われています。白人的文明・文化を遠くに見据えた土着的感覚、あるいは、白人的文明・文化を逸脱した、土着的・非日常的なものへの憧れ、そのような感覚を、その音同様に、見事にあらわしていると感じます。

このジャケットを眺めながらレコードを聴いていると、感覚が何処かに持っていかれます。

 

 

ジャケットの絵はジョニさん自身。このアルバムに限らず、彼女のアルバム・ジャケットは全て自身で手掛けているのですが、どれも傑作揃いです。理性と野蛮、技巧的と生々しさ、繊細さと大胆さ、そんな相反するものが同時に表現されています。もちろんこの言葉、音にも当てはまります。

 

 

 

それで音ですが、このアルバムは、ジャズ的な感覚、土着ビート等を取り入れながらも、ポップスに踏みとどまっている、その綱渡り的なバランスが絶妙で、だからよく聴いたんじゃないかなと、今聴いていて思いました。

ディープなのは、この後リリースされる、ジャズ・プレイヤーと作った数枚なのですが。

 

 

 

 

 

これが内ジャケット。プールを漂うジョニさん。このアルバムを聴いていると、まさにこんな気分に浸れます。

 

 

 

ジョニさんは最早伝説のアーティストになりつつありますが、若い音楽ファンにも聴いて欲しいなーと。

独特な世界なので、かなりハードルが高いんですが、先ずは最新作「シャイン」(‘07年) をお勧めします。これでピンときたら、その次は是非、この「夏草の誘い」、そして、ジャコ・パストリアスの繊細なベースに震える、ディープな「ドンファンのじゃじゃ馬娘」を。