【2021年6月5日】映画「ボヘミアン・ラプソディー」に思う 〜 クイーン「シアー・ハート・アタック」から「ジャズ」まで、ごく個人的なディスク・レビュー

 

 

 

クイーンの映画「ボヘミアン・ラプソディー」が地上波「金曜ロードショー」でオン・エアしたそうです。

今となっては信じ難いのですが、実は当時のロック・シーン及び私の住んでた田舎のロック少年の間で、クイーンは全く評価が低くて、女・子ども向けバンド (←今だと叩かれそうな言い回し 笑) と揶揄され、主食?のディープ・パープルやレッド・ツェッペリンに比べ、いわばお子様ランチやデザート扱いされていました。それが今やビートルズ級のレジェンド・バンド扱い。まさに隔世の感があります。

 

 

以前にベイ・シティ・ローラーズのレスリー・マッコーエンさんが死去した際の記事で触れましたが、私のロックの聴き始めは、ベイ・シティ・ローラーズ、キッス、そしてクイーンです。ちなみに私は今も昔も、基本的に女・子ども向けと言われて揶揄されるバンドに好きなバンドが多いです。

 

 

 

クイーンは小学生高学年〜中二ぐらいまで、実に熱心に聴いていました。中二ぐらいからロンドンのニュー・ウェイヴを聴き始め、高校生になった頃にはクイーンやローラーズやゴダイゴや原田真二は全く聴かなくなりました。実に単純です。多分、分かりやすい表現より、ちゃんと咀嚼出来ない・理解出来ない、難しいもの・新しいものに憧れていた時期だったのでしょう。

 

 

今この記事を読み、当時を思い出しながら、印象に残っている曲を上げつつ独断と偏見に満ちたアルバム・レビューをしたいと思います。(とは言え、ちゃんと聴いているアルバムは、「シアー・ハート・アタック」〜「ジャズ」までなので、この5枚のみです)

 

 

 

 

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キラー・クイーン

 

谷間のゆり

 

ディア・フレンズ

 

ミスファイアー

 

ーー「シアー・ハート・アタック」(‘74年) より

 

 

ハードロック色の濃いアルバムですが、ハードな曲の合間合間にサラリと差し込まれた小品のセンスが光ります。「キラー・クイーン」を除く上記3曲とも何と1分台です。私だったらどれも3分以上に伸ばしそう。そしてシングル「キラー・クイーン」のメロディが超絶に美しく、小学生当時エアチェックしたテープを聴き狂いました。クイーンの「キラー・クイーン」。タイトルのネーミングからして最高です。

ちなみにオザケンの’90年代のヒット曲「愛し愛されて生きるのさ」のイントロは「ミスファイアー」のイントロそのまんま。「ミスファイアー」のイントロから「銀河鉄道999」ぽいメロディ(笑)。小沢さんも多分、クイーンやゴダイゴ、好きだったんですね〜。

 

 

 

 

‘39

 

預言者の詩

 

ラブ・オブ・マイ・ライフ

 

ボヘミアン・ラプソディー

 

ーー「オペラ座の夜」(‘75年) より

 

 

中学生の時にお小遣いを貯めて買ったアルバム。ジャケットの紙質が凝ってて、和紙っぽいザラザラした質感で、しかも白色で、汚れた手で触ると汚くなりそうだったので、アルバム聴く時は必ず手洗いをしていました。(←分かる人には分かる)

今思うに、前作の、ダイヤの原石のような小品たちが練られてこのアルバムの楽曲たちに成長し、完成した、そんな趣きが感じられます。

 

 

LPレコードだとB面は、「預言者の詩」〜「ラブ・オブ・マイ・ライフ」で、学校のストレスを忘れてあっちの世界に。そして「グッド・カンパニー」で一息ついた後の「ボヘミアン・ラプソディー」から、余韻を残しつつの「ゴッド・セイヴ・ザ・クイーン」です。時間があったら是非通して聴いていただきたい、筆舌に尽くし難い流れです。

 

 

 

 

愛にすべてを

 

懐かしのラヴァー・ボーイ

 

ーー「華麗なるレース」(‘76年) より

 

 

よく言われるのは「オペラ座の夜」と兄弟アルバム、ですが、今思うに似てるのはジャケットだけで、次作「世界に捧ぐ」への橋渡し的なストレートな曲も増えたような気がします。

全体としてはそれほど聴いてないアルバムなのですが、上記2曲は、それこそ「キラー・クイーン」並にリピートしました。「懐かしのラヴァー・ボーイ」は、数あるフレディの懐古趣味的楽曲の最高傑作ではないかと個人的には感じます。

そして「愛にすべてを」は、クイーンの雑食的でポジティブな音楽性が最良な形で詰まった大傑作ではないかと。数10年後、フレディ追悼ライブでジョージ・マイケルが「愛に全てを」を歌いましたが、この選曲には大いに納得しました。

 

 

 

 

オール・デッド

 

恋のゆくえ

 

マイ・メランコリー・ブルース

 

ーー「世界に捧ぐ」(‘77年) より

 

 

何とブルースまで聴けるアルバムですが、やっぱりクイーンです。

このアルバムは友人に借りて聴きました。聴いた当初は全く馴染めなかったのですが、30代になってからCDで買い直して聴いたら、中学生当時のイメージが一変したアルバムです。当時は地味すぎに聴こえたB面に渋い歌ものの曲が並んでいて、超有名なA1・A2抜きでも十分楽しめます。

パンクの影響でシンプルになったと当時言われていたこのアルバムですが、そんなことはないと感じます。たしかに以前よりもストレートなのですが、聴き込むと、技巧の矛先が変わっただけで楽曲の構造もサウンドも十分に凝ったつくりだと、今聴いて感じます。

 

 

 

 

バイシクル・レース

 

去りがたき家

 

ドント・ストップ・ミー・ナウ

 

ーー「ジャズ」(‘78年) より

 

 

ちゃんと聴いた最後のアルバムです。「バイシクル・レース」「ドント・ストップ・ミー・ナウ」のシングルの2曲の出来が突出していて、この2曲ばかり聴いていました。あと、素朴なメロディが刺さった「去りがたき家」。

今思うに、このアルバム、一見バラエティに富んでいるのですがシンプルな構造の曲が多く、このアルバムこそ当時のニュー・ウェイヴやブラック・ミュージックの影響を受けている気がします。ロジャー作「ファン・イット」など、次作「ザ・ゲーム」収録の大ヒット曲「地獄へ道づれ」の姉妹曲のようです。このアルバムで、クイーンは大きく変わったなあという気がします。

 

 

そのうち、「ザ・ゲーム」以降や1st.と2nd. もじっくりと聴きたいです。