【2021年7月12日】呂布カルマのニュー・アルバムとAbemaTVのインタビューを観て

昨夜、AbemaTVのヒップホップ・チャンネルを覗いたら、呂布カルマさんのインタビューをやっていました。呂布カルマさんは名古屋在住のラッパーです。クールで且つ熱いライミングが魅力です。ラップする声が若い頃の坂本龍一さんっぽい (もちろん異論認めます) 渋い声質で、そんなところも好みで、時々ながら定期で聴いている理由でもあります。

 

 

インタビューを観ていて面白かったのは、ヒップホップ・シーンに一言お願いしますという設問に、「おっさん、がんばれよ」と即答していたところ。

この発言、ちょっと説明しておくと。

 

 

サラリーマンをリタイアした人たちこそ、自分の人生をラップにしたら面白いんじゃないか、セカンドライフにヒップホップを、という話でした。冗談を交えながらでしたが、結構本音で語っていたと、観ていて感じました。もちろん、自分 (呂布さん) 自身もオッサンであるというのを前提にしてのトークです。

ある意味、表現行為の核心をついた発言ではないかと感心しました。

 

 

 

若い頃からちゃんと表現出来る人というのは、単純に、想像力で無から有を産み出す才能があるからです。私にはそんな才能がなかったので、何も出来ませんでした。逆立ちして足の裏を叩いても、言葉のひとかけらも出てこない、そんな感じでした。

 

 

ところが人は、歳を重ねることによって、その人ならではの「経験」を得ます。

私の場合で言うと。フリーターやサラリーマンとして苦労して生きてきた社会経験。甘く・苦く・切ない恋愛経験。そしてリスナーとして数千曲・数万曲聴いたリスニング体験。数百冊・数千冊の読書体験。そんな「経験」を積めば、「才能」がなくても表現行為が普通に出来るようになります。(但し、やっぱりそこにはアウトプット・スキルを身に付ける努力が必要ですが)

セカンドライフこそ、才能などない普通の人でも表現行為が出来る、人生に於いて実りの時期なんじゃないか。呂布さんは、そういう事を言いたかったんじゃないかなと、観ていて思いました。

 

 

 

呂布カルマさんのニュー・アルバムのタイトルは「Be kenja 」。賢者になれ、です。

今のヒップホップ・シーンは「バカばっかり」と、おそらく冗談半分ながら、そして自虐も込めつつ語っていました。これからの時代は、賢くならないと生き延びれない、と。

なるほどなあと納得しながら、「Be kenja 」を聴いています。