あけましておめでとうございます。前回は本年度の抱負を書いたのですが、今回はポップス界の予測など。
昨年はchat GTPの普及その他、いろんな分野でAIの台頭が目立った年だったように感じます。音楽制作の現場でも、アイゾトープ社のAIによるマスタリングその他の音楽制作ソフトが、私のような市井のクリエイターまで普及してきました。そして、まだナンチャッテ作曲のレベルですが、作曲をするソフトまで登場しています。
話はちょっと飛びます。
私のサラリーマン時代に、社内研修で「ロングテール」という概念を習いました。
ロングテール(英: long tail)とは、インターネットを用いた物品販売の手法、または概念の1つであり、販売機会の少ない商品でもアイテム数を幅広く取り揃えること、または対象となる顧客の総数を増やすことで、総体としての売上げを大きくするものである。
ーーウィキペディアより
この表を見て・読んでいただければ、ロングテールとはどんな概念かを理解して頂けるのではないかと思います。(図は総務省「情報通信白書」より)
ポップ・ミュージックも商品です。そして、この表のように2割のヒット曲が市場のマネーを動かしているのではと感じます。
この2割のヒット曲市場をターゲットに、今年ぐらいから、AIの作詞作曲及びパフォーマンスによる音楽 (商品) が、本格的に台頭してくるのではないかと。
また話はかわり、いち早くAIが人間を超えてしまった将棋界について。
10数年前までの将棋界では、AIはまだ弱く、プロには全く歯が立たず、それこそ「ナンチャッテ棋譜」しか残せないレベルでしたが、数年で人間と並び、今ではとっくに人間を追い抜いています。今のトップ棋士は皆、AIを使って学習している程です。
ところが面白い事に、昨年ぐらいから何人かのトップ棋士たちが、逆にAIが不利と判定して使わない戦法を敢えて使って、力将棋 (乱戦) に持ち込んで、そこで勝機を見出す、という作戦を採り入れています。つまり、AI的な将棋観からの逸脱です。(まあそんな大袈裟なものでもありませんが…)
強引に音楽の話に戻します。
例えAI曲がポップス市場を席巻したとしても、人間が奏でるポップ・ミュージックは、将棋の一部のトップ棋士たちがAIから離れた独自の指手を研究しているように、そのAI的な感性から結局のところ逸脱していくのではないかと。
それは、逸脱する事こそが人間の快楽で、極めて人間的な行為だからです。ロングテールの尾の先にこそ、お宝が埋もれています。
そして逸脱した曲たちを、またAIは分析して構築して新しいポップスを作って…。の繰り返しで時代が進んでいくのではないかと。
私の予想は今年中には当たらない気がしますが、まあなんだかんだ言っても、作詞作曲パフォーマンス、オールAIによる、ハイ・クォリティのJ – POP曲、早く聴いてみたいものです。