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【2023年5月2日】実家で坂本龍一の初期アルバムを聴く その2 〜 ミニ・アルバム「ジ・アレンジメント」

去年の10月18日、実家に帰った際に聴いた坂本龍一さんの「千のナイフ」から「左うでの夢」についての文章を上げました。今回はその続きで「左うでの夢」の後にリリースされたミニ・アルバム「ジ・アレンジメント」(‘82年) から、「未来派野郎」(‘86年) までについて書きます。

 

 

そう思って、手元のレコードを何気なく引っ張り出したら、あまりのリリース音源の多さに今更ながら驚きました。加えて、YMOや他のアーティストとの共演・アレンジ等も行っています。そして俳優として「戦メリ」撮影も。

 

 

という訳で、先ず今回はロビン・スコットとの共作ミニ・アルバム「ジ・アレンジメント」(‘82年)。

前年リリースの「左うでの夢」からの数曲をベースにしたトラックに「M」ことロビン・スコットさんのボーカルが乗った、ポップで聴きやすいミニ・アルバムです。

 

 

 

どなたが書いたのかは憶えていませんが、「坂本龍一の楽曲は『バックトラック』(伴奏) っぽい」という文章を読んだ事があります。私もそう感じます。印象的なメロディの、あの「戦メリ」でさえ、デヴィッド・シルヴィアンの歌メロが乗ると、見事に歌の伴奏と化しています。つまり、主メロディは極力シンプルで、楽曲の最後のワンピースを聴き手のイマジネーションに委ねた、ような曲が多いという事です。

 

 

このミニ・アルバム「ジ・アレンジメント」は、坂本さんのアルバムの中でも特にバック・トラックっぽい曲が多いアルバム「左うでの夢」の楽曲がベースです。坂本トラックの最後のワンピースをロビン・スコットさんの個性が描いた、そんな趣きがあり、だからこそこのような異色のポップスが生まれたのだと感じます。

当時高校生だった私は「B-2 ユニット」と「左うでの夢」は、正直言ってちゃんと消化しきれないアルバムでした。しかし「ジ・アレンジメント」がすんなりと入ってきたのは、そんな理由からではないかと、今思います。

 

 

 

その中でも特に1曲目「ザ・レフト・バンク」が、1番のお気に入りでよく聴いていました。この曲はアルバム「左うでの夢」の「ヴェネツィア」に、オリジナルの歌メロを乗せています。「ヴェネツィア」は、まさに「戦メリ」前夜に生まれたような、ロマン溢れる隠れた名曲です。この曲に乗るロビン・スコットの歌は、さながら「戦メリ」に乗るデヴィッド・シルヴィアンの歌メロのようで、坂本ロマンティシズムを更に増幅しています。

今もこの文章を書きながら聴いていますが、そのメロディは全く古びる事なく響きます。

 

 

レコーディング途中で2人は方向性の違いから袂を分かつ事になり、制作はミニ・アルバムにとどまりましたが、この路線でのフル・アルバム、是非聴いてみたかったものです。

すっかり長くなってしまいました。続きはまた別の機会に。

 

 

「実家で坂本龍一の初期アルバムを聴く」 はこちら↓から。

 

http://musiclub.link/diary/10916/

 

 

 

 

 

【2023年4月12日】「Daisy Holiday!細野晴臣」の過去番組をYouTubeで閲覧 〜 15歳 (当時) のミュージシャンが出演していました

時々まとめてYouTubeで閲覧する、インターFM「Daisy  Holiday!細野晴臣」。今日見た、2019.9.15 のプログラムには、若干15歳のミュージシャンであるキーポン君が、ゲストで出演していました。当時15歳なので、現在は19歳です。調べたら、今年から本名の「関口スグヤ」に改名して活動されているとの事。

 

 

15歳当時の音源は、大瀧詠一さんそっくりの声で、はっぴいえんどのような曲を歌っていました。この歌声は声変わり途中の声だったようで、19歳の現在、声はもう少し低くなって、和製ボブ・ディランのように歌っています。トラックの完成度は尋常ではありません。

細野さんとの応答も、年齢を知らなかったら30歳ぐらいの落ち着きぶりです。細野さんも驚いていました (笑)。最近の若い人は、本当にしっかりしているなあと感心しました。

 

 

 

時々行く、島村楽器さんのサークル「デジランド・クリエイターズ」でも、20歳前後の方が数名いらっしゃいます。楽曲を聴くと、あまりに良く出来ていて、いつも感心しています。

今は、サブスクのお陰で過去曲が好きなだけ聴けて、機材も安く手に入ります。おまけに個人で配信まで出来るので、音楽の才能が開花し易くなっているのでしょう。あとは、やる気と打ち込める環境 (及び時間) があれば、簡単に形になる、という訳です。

 

 

事あるごとに書いているような気がしますが、音楽好きにとっては本当にいい時代になったなあと、つくづく思います。以前にも書きましたが、裾野が広いと山は高くなる、です。日本のポップ・ミュージックの未来は明るいなあと。