ジャケ買いCD紹介の8回目。
私の年代のプラス10歳までの方には懐かしさ一杯のキーボードの名機「ローズ」のイラストと、これまた堪らないカバー選曲「スパルタカス」(映画音楽の名曲)「ビリー・ジーン」(マイケル・ジャクソンの大ヒット曲)「ジャスト・ザ・トゥー・オブ・アス」(邦題「クリスタルの恋人たち」’80’sのAOR大ヒット曲)「蘇州夜曲」(大昔の歌謡曲。戸川純さんも歌っていました) に釣られて購入しました。
ジャケットから、テクノっぽい音をバックにローズを弾くオシャレなクラブ・ミュージックを予想しましたが、半分外れて半分当たったという感じです。
確かに、ブレイク・ビーツっぽいリズムの上で、ローズ・ピアノでオシャレなメロディを弾きまくっているのですが、ローズの音やドラム音は歪みまくり、ノイズ出まくりで、ベース音は低くてデカくて、これはまさしく、ブログで度々触れている、私の好きなダブの質感です。
鍵盤のテクニックはすごく上手く、ということは、この方は音楽の素養がある方かと。ということは、この音質は完全に狙って出しているという事です。
なるほど!オシャレなメロディをエサに、オシャレな音楽を求める一般の音楽ファンを、凶暴なダブ・ミュージックの音世界へ引き摺り込もうという作戦なのか!と、聴いていて思いました。考えすぎでしょうか。(笑)
ある意味、コロンブスの卵っぽい発想のCDです。そして明らかに聴き手を選ぶ音楽です。
10曲目、かの「クリスタルの恋人たち」の、有名なイントロのローズ・ピアノの超オシャレなフレーズなど、原曲のオシャレさなど跡形もなく、ノイズの塊と化しています。そのサイダーの泡のようなノイズは、とても気持ちよく聴こえます。この曲が一番暴力的に聴こえました。このアルバムのベスト・トラックなのでは。
その次の曲は「蘇州夜曲」なのですが、こちらはローズ・ピアノのソロ演奏で、いたって普通の音質です。この落差もなかなか。そして最終曲「ネヴァー・キャン・セイ・グッドバイ」(ジャクソン5のヒット曲) へと続く、このラスト3曲の流れがとても良く、結構クセになっています。
世の中、まだまだいろんな音楽があるんだなあと思いました。
この作品は2006年とクレジットに記されていました。イノさんは他にも作品をリリースしているのでしょうか?気になったので、これから調べてみます。