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【2018年2月26日】「西暦2018年 ニューヨークの落書き」制作日誌 〜 その① 「アナ雪」聴き比べから学ぶ

曲を作り始めると、ブログのネタもどうしてもそっちに振れてしまい、文章も短くなってしまいます。他のことを考えなくなるので、仕方がありません。
が、今回は珍しく話が長く続きそうです。

 
新曲「西暦2018年〜」のメロディのコードが決まりました。とは言っても、純粋にメロディが先にあってコードを当てはめた訳ではなく、コードを押さえながらメロディを歌い、そのメロディに、またコードを押さえ直すという具合に作っているので、取り敢えずまとめたという感じです。

 

 

キーは「D」で、このキーは「レ」から始まるドレミ〜音階です。男性にはやや高めのキーです。歌メロの上限を「ラ」の音にしたので、それに合わせました。この辺のキーの決定は結構重要です。歌い込んでから変えることもよくあります。この曲は明るく広がる曲調なので、キーは高い方がいいかなと思ったので。

 

 

 

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もう数年前になりましたが、世間を席捲した「アナ雪」のテーマ曲、「レット・イット・ゴー」。
映画そのものもそうでしたが、この曲もずい分話題になりました。
本家の歌に加えて、日本人歌手も数人歌ったりで、誰のバージョンが一番かという話題にもなりました。

 

 

当時、私の職場の、音楽好きな数名ともそんな話になり、その数名それぞれが口を揃えたように言うには「May J.ってすごく上手いけど、松たか子の歌が一番心に染みるよね」でした。

私はこの曲に全く琴線が触れなかったので、そんなものなのかとしか思っていなかったのですが、後から何の機会か忘れましたが、松たか子さんとMay J.さんの歌を続けて聴く機会がありました。

その時に、松たか子バージョンの方が、明るく希望に満ちて聴こえると、私もたしかに感じました。
二人とも特に変わった歌い方ではなく正統的な歌い回しです。それでもすごく違って聴こえて、その時は、声質のせいかなと思っていました。

 

 

ずい分経ってからですが、ある日音楽教室で、何かのはずみで「レット・イット・ゴー」の話になりました。多分、生徒さんが練習していたんだと思います。
その時に私のその話をしたところ、先生はあっさりと「松たか子の方がMay J.よりキーが一音高いから明るく聴こえるのよ」と仰って、その音楽的な一言で、ようやく秘密が解けた気がしました。
そう言われると身もふたもない気がしますが、声質プラス、単純に、音程が高いから明るく聴こえたのです。

 

 

気になって後からYouTubeで聴き比べてみました。歌い出しのキーが、松たか子さんは「ド」ですが、May j.さんは「ラ♯」。ちょうど一音低く、ということは、曲のピークの高音部も当然一音低くなります。
たかが一音と思うかもしれませんが、この一音というのは、ものすごく大きな違いです。(カラオケで、好きな歌を一音、上下させて歌ってみて下さい。すぐに違いが実感出来ます)

 

 

ちなみにじっくり聴くと、音程の安定感やトーンの表現力など、いわゆる歌唱力はMay J.バージョンの方が、松たか子バージョンよりも数段上に聴こえます。
それでも松たか子さんの声や歌い方にこの曲が合っているから、松たか子バージョンが好きな方も多いんだと思います。歌の上手さと好き嫌いは、全く別モノです。
更に言えば、本来、この二人の歌を比べて聴くなど、そもそもバカげた聴き方です。それぞれが、それぞれの「ありのまま」なので。そう思ってちょっと反省しました。単純に両方それぞれ楽しめばいいだけの話です。

 

 

 

歌う際に、自分の上下のピークのキーを把握するのは大事なことです。曲調によっても、どこのキーで声を出すかが重要です。キーによって声が違うので。そして、自分で歌を作って歌っている人なら、自分の声の、声質や音域内で表現出来る曲想を掴むのは、とても大事なのではないかと。日々実感しています。
私自身は軟弱な声なので、乗せるとなると、ソフトな曲調にならざるを得ません。ハードな曲を歌うには、それこそハードなボイトレが必要です。そう思いました。

 

 

 

 
ライブで「レット・イット・ゴー」を歌う、May J.さん。スタジオ盤と全く変わらない歌の上手さに驚きました。こんなに上手いとレコーディング時のピッチ修正などいらないですね。音程はもちろん、トーン(声の表情)や、伸ばす・切るのタイミングなど、まさに完璧です。
いわゆる「上手い歌」が聴きたい方には、是非オススメします。

 

【2018年2月24日】二人のボーカリストに学ぶ 〜 タケカワユキヒデ、バーナード・サムナー

昨晩、銀河鉄道999復活のニュースを読み、自分内で盛り上がりまして、YouTubeで過去のアニメ映像やゴダイゴの歌番組でのライブなどを閲覧して、悦に入っていました。
あらためて、タケカワユキヒデさんのボーカルってカドがなくて滑らかでいいなあと、見惚れて・聞き惚れていました。

 

そんな訳でゴダイゴの映像を観て・聴いているうちに、途中からニュー・オーダーのバーナード・サムナーさんを思い出しました。結構共通項があるなあと。
綿菓子のように柔らかくて、カドがなく、音程がきっちりと定まらないフワフワ感や、マイナー調の曲でも全然暗く聴こえない、不思議な明るさ (多幸感に包まれます)、男っぽくないところ、などなど。そしてお二方とも、声質同様、自然で柔らかい美メロを作ることも。

 

 

 

一般的に好まれるボーカリストは、豊かな声量や、微妙な音程もきっちりと外さず歌える歌唱力や、ここぞという時の力の入れ方 (感情表現など) が上手かったり、などなのですが、このお二方とも、全て逆を行っており、尚且つそれが唯一無二の個性?と認知されているところが、偉大なところなんじゃないかなあと思います。

 

声は、個性が出せるという意味では一番強力な楽器です。音域や音量や周波数特性が全く違う楽器を、一人一人が持っているようなものです。
違う楽器の音を、わざわざ合わせる必要もないですし、チューニングのやり方も人それぞれでよいのではないかと思います。

 

声量のない人は、ないことがプラスに聴こえる歌い方をすれば良いですし、高域が出ない人は、無理して出さずに、気持ちのいい音域で歌えば良いのではないかと。

そのように、自分を理解して自分なりに歌える人が、「自然体のボーカリスト」として、リスナーに伝わるのでは。(実はそれが難しい)
と言いつつも、高音域など無理して発声していて、そのギリギリ感が心地良く聴こえる人もいるので、人の声は実に奥が深いです。

 

 
このお二人に、故マーク・ボランさん (T-レックス) を加えたら、私の中での柔らかボーカリスト・トライアングルの完成です。
久しぶりにタケカワさんの歌を聴いていて、そんなことを思いました。

 

 

 

 

 

ニュー・オーダーの美メロ3本指に入る名曲「ビザール・ラヴ・トライアングル」を歌うバーナード・サムナーさん。’87年のライブから。
この画像は若い頃のですが、そういえば、お二方とも歳をとって、顔まで似てきた気がします。