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【2022年1月29日】トロ・イ・モアの新曲「ポストマン」聴きました

 

 

トロ・イ・モアは、チャス・ベアーさんの1人プロジェクト。日本でいえば、小山田圭吾さんのコーネリアスみたいな感じでしょうか。アルバムごとのコンセプトが明確で、その曲想に合わせてゲスト・ミュージシャンをチョイスしたり、というところも似ています。

 

 

元々、10年ほど前にチルウェイヴというジャンルのアーティストとしてデビューしています。

同時期のチルウェイヴのアーティスト、ウォッシュト・アウトと比較すると、音数が圧倒的に少なくスカスカしていますが、少ない音をうまく聴かせるサウンド・デザインが見事です。そしてブラック・ミュージック寄りです。そんなところが、トロ・イ・モアの個性でしょうか。

 

 

ここ数作のアルバムでは、音像が派手になってきてポップ度が大きく増してきていましたが、この「ポストマン」、初期のチープでスカスカ感を感じる音像です。そしてベースの音がとても良いです。ファンキーなのですが、ちゃんとトロ・イ・モアのサウンドとして鳴っています。ローファイ・ファンク・チル、という感じでしょうか。こういうのが聴きたかったんだよなあと、何度もリピートしています。

 

 

 

ところでここ日本では、こういうスカスカなサウンドは昔から受け入れられ難かったんですが、近年、サブスクやYouTubeでいろんな音楽をじっくりと聴き込む方が増えてきた事もあってか、昔ほど音圧主義はなくなってきている気がします。

 

 

それは、高性能のヘッドフォン・イアフォンやPC・スマホの普及により、昔なら数10万円かけて整えたリスニング環境が、今はちゃんと鳴るのが当たり前、というふうに、劇的に変わったというのも一因ではないかと推測します。

アーティストは音圧に頼らなくてもよくなった訳です。繊細なサウンドも、普通に一般リスナーに聴いていただける。そんなふうに変わってきました。

 

 

リスナーの耳が繊細な音響についてくるようになってきているので、このトロ・イ・モアのように、サウンド・デザインのセンスで聴かせるアーティストにとっては、状況は追い風が吹いているのではと感じます。もっと多くの音楽ファンの方々に聴いていただきたいなあと思います。

 

 

 

 

 

「ポストマン」MVより。

 

 

【2022年1月27日】「宇宙を見つめていた頃」練習用の仮歌を録りました 〜 今更ながら、奥田民生「息子」の作詞テクニックに感服

という訳で、朝から練習用の仮歌入れをしました。この曲は16分音符そのまま一音づつに言葉が乗っているAメロが歌唱のポイントだと、歌詞を書いてる時は思っていました。超早口になるので、歌えるかどうか心配でした。

けれども実際歌ってみると、割と簡単に歌えました。歌は、横に揺れるリズムの方が難しいんだなあと、あらためて感じました。

 

 

まあ歌いやすく・聴きやすいように、工夫もしている訳ですが。工夫した点は、Aメロは全て促音を多用して、歯切れ良くしたところです。促音というのは「っ」のことです。

 

 

♫絡まってる私の毎日 抗ってる運命選択

 

ってた感覚そのうち すり減ってった

 

どうやっても最終一択 どうなっても後悔立って

 

ふくれっ面ぶら下げ続けて ひとり…

 

 

こんな感じです。これだけハネていると実に歌いやすいです。促音「っ」だけではなく、同じくハネる音、撥音「ん」も多用しています。

こういう具合に、意味と発声を合わせて作っていくのが、作詞の醍醐味で、一番難しい&面白いところです。クロスワード・パズルを作るのと似ています。縦軸が音、横軸が意味、でしょうか。

 

 

 

促音や撥音を、歌詞に上手く採り入れた最良の曲ではないかと、常々思うのが、奥田民生さんのヒット曲「息子」(‘95年) です。2部構成の曲で、前半がハネた言葉とリズム、後半から朗々とした奥田民生節が炸裂している、そんな曲です。

 

 

とにかく見事としか言えません。完璧なクロスワード・パズルです。百聞は一聴にしかずです。興味ある方は、サブスクやYouTubeで聴いてみて下さい。

 

 

 

 

 

この頃 (‘80年代末〜’90年代中期) の奥田民生さんの楽曲は、「息子」以外にも素晴らしい曲が目白押しです。ユニコーン後期の「雪が降る町」「素晴らしい日々」、ソロの「コーヒー」「イージュー★ライダー」「野ばら」、PUFFYが歌った「マザー」…。

思い出したので、久しぶりに聴いてみようかなと。