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【2023年1月31日】YMOのラスト・アルバム「サーヴィス」に思う

 

 

 

高橋幸宏さんの訃報後、高橋さん並びにYMO関連の記事がYahoo!ニュースに散見されます。私は目につく記事は逐一読んでいるので、それを受けてAIが更に記事をぶちこんでくる?のかもしれません。この記事は、そんな記事の中から腑に落ちたもののひとつです。

 

 

この記事の面白いところは、タイトルにもありますが「1983年」にフォーカスして語っているところです。何故面白いかと言えば、当時コアなファンの間では、この年にリリースされた2枚のアルバム「浮気なぼくら」「サーヴィス」は「お仕事」で作った、的に捉えられていたからです。

「お仕事」とは言えクォリティは高く、特に「サーヴィス」は、当時の世界レベルにも通用する音でした。初期の2枚の衝撃、「BGM」「テクノデリック」の先鋭性、はありませんが、好きなアルバムに挙げる方は多くいらっしゃいます。

 

 

 

当時の私はそう思っていたのですが、この記事を読むと、どうやらこの歌謡テクノ・AORテクノ路線は、単に「お仕事」ではなく、当時の本人たちは結構乗り気で作っていたみたいです。

 

 

「前から日本語でやりたかったんですけど、イマイチ吹っ切れなかったみたいなところがあって。日本語ってムズかしいから」

(『WEEKLYオリコン』1983年4月8日号より 細野談)

 

「YMOの歌詞は、すごくシビアだったでしょ? それは英語だったから、できたの。同じような内容を日本語で歌うのには無理がある。混乱とか混沌とかいう言葉を歌にできる?」

(『キーボード・マガジン』1983年3月号より 幸宏談)

 

 

「浮気なぼくら」で、それまでのパブリック・イメージを吹っ切ったので、「サーヴィス」は自由に作れたのではないかなと。三者三様の個性がバラバラにならずに上手く1枚のアルバムに収まっています。

この路線で作り込んでもう1枚出していたら、とんでもないアルバムが出来ていたかもしれませんが、その「もう1枚」を作らないところがYMOらしいです。

 

 

 

 

 

【2023年1月29日】トム・ヴァーレイン死去

 

 

 

トム・ヴァーレインさんを初めて聴いたのは高校生の頃のFMラジオ、渋谷陽一さんの「サウンド・ストリート」ですが、ちゃんと聴いたのは大学生になってからです。私と同じくパンク/ニュー・ウェイヴ好きの友人T君にレコードを借りたのがきっかけです。

それですっかりハマってしまい、ダビングしたカセットを聴くに飽き足らず、結局テレヴィジョンの2枚、ソロの4枚、全て購入して聴きました。

 

 

彼のギターの、というか曲のスタイルは、まさしく唯一無二です。何処から影響を受けてああいう音楽が生まれたのか、未だに分かりません。そして、彼のように弾くフォロワーも、私の知る限り誰もいません。ロック・ギター・ミュージックの歴史的文脈からスパッと切り離されている感がします。

 

 

 

私が最もよく聴いたのは、2nd. ソロ・アルバム「ドリームタイム」(‘81) です。このアルバム、今聴き返そうにも、手元にはCDもDL音源もありません。実家に帰った際に存分に聴いて供養したいと思います。謹んでお悔やみ申し上げます。