制作日誌「ひみつの言葉」

【2018年3月25日】新曲「ひみつの言葉」書き始めました

 

 

まだタイトルと走り書き程度なので、公開はもうちょっと後になります。
「ひみつの言葉」は、何かの記事の中で目についた言葉。その記事の内容は忘れてしまいましたが、この言葉だけが頭に残りました。

 

 

こうして新しい曲が生まれたということは、今作っている「2018年、ニューヨークの落書き」の制作が終わりに近づいているという証です。(並行して同時に数曲は何故か作れないので)
自分で作っておきながら、どうやって生まれたのか、どこで終わるのかが、全く分かりません。歌は人の命のようです。
「ひみつの言葉」という語感からは、二人だけの世界、的な、恋愛の言葉が浮かぶと思いますが、私のはそうではありません。

 

 

一口に言葉といっても、そこには様々な種類があります。伝達や説明、社交辞令や挨拶、感情の赴くままに発する暴言、などなど。そして今の時代、そんな言葉たちはネット上で空気のように飛び交っています。歌を書き始めて、ブログを書き始めて思うのは、自分にとって本当に大切な言葉というのは、そのうちのごく僅かしかないんじゃないかということです。

 

 

私の琴線に触れる言葉は、その言葉の意味というか内容は、実はそれほど重要ではありません。何が重要かというと、心の底から絞り出した本当の言葉なのかどうなのか、という点です。
今回のは、そんな複雑なことを歌った歌です。どんな曲に完成するのか、自分でも楽しみです。
ちなみに、「秘密」ではなく「ひみつ」と平仮名なのは、同じタイトルの曲がないかと検索したところ、漢字表記で同じ歌があったからです。他意はありません。気になってyoutubeで聴いてみたら、予想通り恋愛の歌でした。

 

 

 

 

画像は「おはよう こんにちは」(’88年) を歌う前に、お客さんに毒づくエレファントカシマシの宮本さん。私はこのシーンが好きで、前にエレファントカシマシのことを書いた時も、この画像をアップしました。

 

 

今回のを書いた後、画像を決める際にすぐにうかんだのがこれです。「おはよう こんにちは」という言葉は、「秘密の言葉」と対極の「日常の挨拶言葉」です。とてもユニークな歌詞の、ロックな一曲です。

 

 

 

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【2018年5月6日】ヒップホップっぽいトラック作りました

 

 

4日のブログ「ヒップホップは音のリサイクル・ショップ」を書いた後、実際に自分でもヒップホップを作ってみたくなって、リズム・マシンをさわっていたところ、割と簡単に一曲出来ました。
今までは、アコギやキーボードを弾きながらメロディを付けたりリズムを作ったりしていましたが、今回はリズムパターンを決めて、ドラム音を鳴らしっぱなしにしながら、音を加えたり引いたりしていきました。やってみて、このやり方の方が、簡単に曲が作れると感じました。

 

 

そして実際に、一晩でほぼ骨格が完成しました。出来る時は速く出来るものです。こないだの「ニューヨークの落書き」など、完成するのにまるまる2ヶ月程かかったのですが、今回は数日で終わりそうです。

 

 

メロディは、以前書きかけの「ひみつの言葉」という歌詞があり、それをリズムに乗せながら言葉と一緒に完成させました。
結局歌はヒップホップではなく、ブレイクビーツのR&Bっぽい、マイナー調のバラードになりました。

 

 

あらためて聴き直すと、曲も歌詞も、まるで自分の曲じゃないようです。気に入って、トラックを何度も何度もリピートしています。
コードは、最初から最後まで、F♯ – Bm – A – D の循環で、時々セブンスが入ったりします。
以下、歌詞です。歌いながら変更するかもしれません。

 

 
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ひみつの言葉

 

 

※君への想いは
ひみつの言葉
誰にも君にも
知られたくない

 

君への想いは
ひみつの言葉
心のすみっこで
息をころす

 

君へのラインは
ありふれた言葉
心とうらはら
笑みを返す

 

君への想いは
僕だけの言葉
誰にも君にも
知られたくない

 

 

※※溢れる想いは喉元で
止まってそのまま呑み込めば
いつしか夜露と消えていく
涙もそのうち乾くだろう

 

 

※くり返し

 

※※くり返し

 


※くり返し

 

 

 

 

去年購入したこのマシンで骨格を作りました。10年以上前のモデルですが私にはとても使いやすくて、最近よく遊んでいます。

 

 

 

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【2018年5月8日】創作作業は編集作業のように

 

 

 

「ひみつの言葉」のトラックを制作していて思ったのが、ヒップホップのトラック作りというのは、創作というよりも編集作業に近いということです。何を今更と思われるかもしれませんが、実際にやってみて実感したことです。
ロックやポップスのように曲想を発展させて進めていくやり方ではなく、まずはベーシックなループのフレーズを決めて、その上にいろんな音をとりあえず置いてみて、あっちを削りこっちを足して、エフェクトをかけたり外したりして、形にしていく、そんな感じです。
ロックと違って一曲にバージョン違いがたくさん出来る理由も、よく分かりました。

 

 

絵でいうと、アナログな油絵とデジタルなPCソフトのグラフィックス、ぐらいの差があります。もちろん、どちらが良いとかの問題ではありません。良い油絵もあれば大したことのない油絵もありますし、良いデジタル・グラフィックスもあればそうでないのもあります。つまりは単なる作り方の違いです。

 
ヒップホップの創世記である’80年代初め頃から、12インチ・シングルという、新しい形態のアナログ・レコードが脚光を浴び始めました。
元々はおそらく、トミーボーイとかセルロイドとか、ヒップホップのレーベルがリリースし始めた形態だったと思いますが、そのうち、普通のポップスやロックにも普及してきました。

 

 

ポップスやロックの12インチ・シングルは、通常の8インチ・シングルの曲のロング・バージョンやリミックス・バージョンなどを収めたものです。
大体が、ダブやヒップホップの影響を受けた、エフェクト処理+リズムを強調、の音になっていました。
いろんなアーティストがこの12インチ・シングルをリリースしていましたが、今思うに、完成された元の楽曲をバラバラに切り刻んだもの程、面白く聴こえたと記憶しています。アーサー・ベーカーのリミックスとか。

 

 

自分の曲「ひみつの言葉」も、かつての12インチ・シングルのリミックス・バージョンのように、バラバラに切り刻んでみるのも面白いかなとちょっと思いました。
曲が完成したら、今度は壊すことにチャレンジしてみます。

 

 

 

 

12インチ・シングルは今でも一部の人たちの需要があり、リリースされ続けています。

 

 

 

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【2018年5月10日】「ひみつの言葉」完成! 〜 音と言葉の因果関係とは?

 

 

とりあえず仮歌を入れてみたところ、いい感じに入ったので、それでOKにしました。ミックス・ダウンも終わり、完パケです。前作のような長い制作日誌を書く暇もなく、約3日で完成しました。おそらく最短です。
今回の曲は、トラックも歌詞もメロディも、そして歌までもが、まるでジグソーパズルのピースがピッタリとはまっていくように自然に出来ました。いつもこんなに簡単に出来ればいいのですが。

 

 

今回のトラックは、前に書いたようにR&Bっぽいビートなのですが、このビートだからこそ、この歌詞が生まれたという気がします。
英語なので意味が直接頭に入ってきませんが、ヒップホップやR&Bは、大体がプライヴェートのことや恋愛のことなど、極めて日常的な歌ばかりです。

 

 

今までは特に気にしていませんでしたが、今回、いざ自分がこういうビートで歌うとなった時、やはり極めて直接的な歌詞に、自然となってしまいました。「2018年、ニューヨークの落書き」や、その前の「焚き火」のような、想像力で書いた絵空事は歌えませんでした。まるでマジックにかかったようです。

 

 

実に不思議ですが、つまりはビートが歌う言葉を選んでいるということでしょうか。詞先の曲だとだと、言葉がビートを選ぶ、でしょうか。
そう言えば、レゲエも日常のことしか歌いません。あのビートにファンタジックな歌詞、大袈裟な言葉、は乗りません。
音と言葉の因果関係は、かなり深いところでつながっているみたいです。少しでも解明出来るように、考えていきたいものです。

 

 

 

 

エリカ・バドゥ「Mama’s Gun」(’00年)。この頃日本でも、ミーシャ、宇多田、UA、などなど、R&BテイストのJ–POPが大流行りでした。

皆さんレベルが高くて、以前にも書きましたが、J–POPの新時代の幕開けを感じていました。