制作日誌「焚き火」

【2017年12月11日】今日は一日中作曲してました

 

 

ここ数日エレクトロニカの話ばかり書いていたら、自分でもそのような音楽を演りたくなってきました。

 

 

そんな訳で、数ヶ月前に買って少し遊んで放ってある、エレクトライブ S mkⅡ というリズムマシンを久しぶりに触ってみました。

 

 

このマシンは自分でサンプリングした音もリズムに出来たり、エフェクターも各種付いてて、ちょっとした加工も出来るので、音を流しながらツマミをいじっていると、時間が経つのを忘れてしまう位に没頭してしまいます。
買ってからそうやって遊んでいて、どうも音をまとめきれないというか、決めれなくて、実際の作曲には利用していませんでしたが、別にまとまらなくてもいいんじゃないかという気がしてきたので、今日は実際にリズム・トラック作りまで行ってみました。

 

 

で、半日がかりでリズム・パターンが出来、試しに以前作ったメロディを乗せてみたところ、これがうまく乗っかりました。
アレンジも、今までのごく普通のやり方ではなく、行き当たりばったりで音を鳴らして決めていって、おかしいところは後から差し替える、というやり方にしてみたところ、自分でも思ってもみなかったフレーズが浮かんだり、差し込む音色が浮かんできたり、すごく有意義に進みました。

 

 

 

思い出したのは、昔、雑誌で読んだデヴィッド・ボウイのインタビュー。出典は定かではなく、ウロ覚えです。
ブライアン・イーノと「ロウ」(’77のアルバム) を演る際、イーノが一定の間隔で指をパチン・パチンと鳴らして、それをテープレコーダーに録音していた、その様子をボウイは不思議がって「何をしているんだい?」と尋ねたところ、イーノは「そのうち役に立つと思ってね」と答えたそうです。それが、エレクトロニカの元祖のような名曲「ワルシャワ」になったそうです。

 

 

指をパチン・パチンとやっている時は、ボウイやイーノは多分、音的には何のアイディアもなかったと思います。パチン・パチンを聴いていて、合わせてボヨーン・ボヨーンとシンセサイザーを弾いていたら、偶然にあのフレーズになっていったのではと感じます。

 

 

これはアイディアを生み出すためのアイディアなんだという気がしました。
いろんな実験から音楽を作っているブライアン・イーノらしいエピソードだと、読んだ時思ったものです。
今日サンプリング音源からトラックを作っていて、どうも私はいままでのやり方が慣れてきたためか、曲も音も結構パターン化してきているんじゃないかなと、ふと思いました。作っていても、いわゆる「作業」になっているところも多々あるので。ちょっと反省しました。

 

 

音楽は、自由に行い、それが楽しければ正解だし、結果もちゃんと残るものだと思います。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

【2017年12月14日】「焚き火」制作日誌です

 

 

先日制作の「焚き火」(仮題)、いい感じで進んでいます。まだ途中ですが仮のミックスダウンを行い、、CDRに落として車で聴いてみました。
どうもヘッドフォンで聴くよりも散漫に聴こえました。

 

 

どうしてこんなに違って聴こえるのかと考えてみました。考えてみて、多分ミックスダウンに原因があるのではと思いました。
今回のは音が少なくてスカスカしている為、エコーや定位、イコライジング、楽器の音のバランス、そんなところが今まで以上にすごく重要になっています。メロディやリズムよりも、音空間そのものを聴かせる曲なので、いつもはあまり気にならない細かいところが気になったりします。
その辺をあまり意識せずにミックスダウンしたので、ちゃんと聴ける曲にならなかったのではと思いました。

 

 

あと、そもそもこのような静かなアンビエント・ミュージックは、車で流すには適していません。車のエンジン音や環境音に負けてしまいます。
車で聴けなくても、せめてスピーカーで鳴らせるようにはしたいです。今回のは、部屋のスピーカーで鳴らしてもイマイチかなと。

 

 

などと考えていて、結局ボーカルとアコギを入れる事にしました。声が入ると世界が一変しますが、アンビエントなトラック+アコギと声は、相性が良い気もします。早速歌詞も書かねば。

 

 

 

 

たまたま近くにあった、細野晴臣さんと高橋幸宏さんのエレクトロニカのユニット、スケッチ・ショウのアルバム「トロニカ」(’03年) のジャケット。
音はどんなだったか忘れてしまいました。多分エレクトロニカなバックに幸宏さんのボーカルが乗っているんだと思います。今度探して聴いてみます。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

【2017年12月16日】「焚き火」制作日誌です 〜 その②

 

 

歌詞が書けました。今までになく変な歌詞になりました。タイトルも「焚き火と賢者の唄」に変更。こちらも今のところ仮題です。
歌詞とインスト部分が長くなり、6分を超えそうです。

 

 

それにしても、曲を作っていると時間の経つのを忘れて熱中してしまいます。

 

 

思い出したのが、詩人であり思想家でもあった吉本隆明さんの言葉。

 
おなか減っても、文化的なものが欲しいとか、この小説が読みたいとか、そういうことのほうが、明日食べるもんが心配だなぁっていうときでも、真っ先の欲求だってことは‥‥あると思う。

 
調べたらすぐに見つかりました。
本能に忠実に (但し、他人に迷惑をかけずに)、が一番正しい道かなと。

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

焚き火と賢者の唄

 

 

それは旅の途中
夢の中 歳老いた賢者が現れて
「今いる場所を空の上から、眺めてみるように思いなさい」
天からの地上の眺め
点のような 君や僕

 

 

焚き火囲んで まず乾杯!
今日の旅路も無事終えて

 

 

賢者の話はまだ続く
「足が動くうちは歩きなさい」
「喉が丈夫なうちは歌いなさい」
「命があるうちは笑いなさい」
空には雲流れ
大地には緑覆い

 

 

焚き火囲んで 今宵語ろう
今日の出来事 明日の事

 

 

実は昨晩、夢をみたんだ
賢者に会って話聞いたよ

 

 

よく分からない話だけれど
何故だかちょっと懐かしく

 

 

ああ、雲が流れる
ああ、光溢れる

 

 

 

 

再び焚き火。実際にパチパチと燃える音も、曲に入れてみようと思っています。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

【2017年12月22日】「焚き火」制作日誌です 〜 その③ 一人反省会

 

 

バックトラックがほぼ完成しました。歌詞も大幅に修正しました。タイトルも「焚火と賢者の唄」から、最初に閃いた「焚火」に戻しました。
今回は、春〜秋に購入した楽器、「ジャム・ステーション」と「エレクトライブ」を全面的に使用して制作してみました。そして、キーボードはミニマムなフレーズのみだったので、打ち込みではなく、全てのパートを手弾きしました。ギターは使用していません。
などなど、いろいろと新しい試みで作ることが出来て、しかも煮詰まる事なくスムーズに出来、とても楽しい経験でした。

 

 

それにしても、楽器がかわると音楽スタイルも結構変わるものだと、ちょっと驚きです。そして音楽スタイルが変わると、乗せる言葉も変わってきました。
今回の曲は、後半かなりノイジーになるのですが、自分的にはそれがとても気持ち良く聴こえました。もっとノイズのボリューム・レヴェルを上げたかったのですが、我慢して抑えました。

 

 

今後の課題としては、何といっても「エレクトライブ」を使いこなす事です。あと、ノイズのコントロール、フレーズの更なるミニマム化、でしょうか。
いろいろなアイディアがコマ切れにあるので、何とか形になるようにしていきたいです。早速次の曲に取り掛かります。

 

 

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

【2017年12月26日】「焚き火」制作日誌です 〜 その④ 歌を入れてみました

 

 

 

全面的に書き直した歌詞も完成、とりあえず歌を入れてみました。この歌は、アコギも使わないし、大声で歌わなくてもいいので、上手く録れればそれで完成です。
何度か歌ってみて、CDに落としました。いつものように車中で練習をした後、ちゃんとレコーディングをします。

 

 

 

今年も残すところあと数日。別に〆切はありませんが、今年中に完成すればよいのにと思います。
ところで随分昔になりますが、会社で社員研修に行かせて頂いた際に教わって、なるほどと思った事があります。たしか内容はマネージメントについてだったと思いますが、目的を達成する為・仕事をスムーズに行う為には、どんなに小さくてもいいから目標を設定して、それに対する〆切を設定するのが望ましい、という事です。多分出処はドラッガーのマネージメント理論、もしくは、フランクリン・コヴィーの7つの習慣ではなかったかと思います。

 

 
そして更に、その目標と〆切を可視化 (第3者が分かるように) すると、それはほぼ達成される、と説かれていたような気がします。まあ物事全てそんな上手くいけばいいのですが、全てはその人のやる気次第です。

 

 

音楽制作も同様のような気がします。曲だって、書こう!と決めたから書けるようになったんだと、実感として思います。決めたら、その質はともかくとして、何とか出来るものです。
そして、アルバムのリリース日が決まったから、それに向けて、何とか完成までこぎつけられたのだと思います。

 

 
そういえばこのブログも、毎日書く事があるから書いているというより、毎日書く、と決めたから、自然と書く内容が生じてきて書けるという感じです。今日はネタがないな〜と思っていても、タブレットのキーボードを叩いていると、内容が自然と生まれてきます。
今年途中からあまり曲を作れなかったのも、アルバム制作という目標や、その〆切もなかったのが大きいのではないかという気がしています。天才ならば、その衝動の赴くままに次々と作品を生み出せるのですが、私は普通の人なので。

 

 

という訳で、せっかくこうしてブログを更新しているので、来年度は是非、立てた目標と、設定した〆切をブログで公開 (可視化) して、音楽制作やライブに取り組みたいと思います。
何となく年末らしい話になりました。(笑)

 

 

と書いてきて、「焚火」も〆切を設けないと、終わらないような気がしてきました。良く言えば斬新、普通に言うと変な曲なので、入れようと思えばいくらでも手が入ります。
とりあえず「焚火」は、今年中には必ず歌入れを終わらせます!

 

 

 

 

その時の研修で「目標達成シート」というのを書かされました。「書かされ」「やらされ」なので、その時書いた事は、当然のように何にも行なっていません。
同じようなパターンのシートを、あの大谷選手が使っていたとTVで見た時、その書き込み度に感心しました。それがこのシートです。YouTubeに上がっていました。左上は、驚いているキャスターの女性。

 

 

ちなみにこの図、小さな四角には、更に周りに四角が付いて、と、考えれば考えるだけ深く、具体的になっていく仕組みです。

 

 

普通は自分ではどうにも出来ないとされる「運」すらも、何とかコントロールしようとシートに書き込んでいるのが、大谷選手らしい凄さです。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

「焚き火」制作日誌です 〜 その⑤ 録音終了!あとはミックスダウンです

 

 

意外とすぐにOKが出せて、本歌録り終了。なんとか音入れが完了です!あとはミックスダウンを行なって、レコーディング終了です。
今回は、初めて効果音というか、自然音 (パチパチと鳴る焚火の音) を入れました。あとビートがドラムではなく変なパーカッションの音だったり、全部手弾きだったり、曲構成が変わっていたり、アンビエントな雰囲気だったり…。その他いろいろと実験が出来て、とても楽しく制作出来ました。

 

 

過去のブログを調べたら、作り始めたのが11日でした (12月11日「今日は一日中作曲してました」から制作)。気がついたら、何ともう17日も経っていました。あっという間だった気がします。いつもの事ながら、出来た時の達成感は、何物にも得難いものです (出来栄えは置いといて)。自分の分身が生まれた気がします。大袈裟ではなく、生きててよかったなあと思います。

 

 

今年中にミックスダウンを完了して、お正月に、年賀状がわりにお世話になっている方々に聴いていただけるように仕上げたいと思っています。

 

 

では、大幅に書き直した歌詞を載せておきます。この歌詞も変で、歌の歌詞っぽくないんですが、かのボブ・ディランさんも変な歌詞が多いので、まあいいかなという感じです。(クォリティは雲泥の差ですが)

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

焚き火

 

 

それは戦さの途中
夢の中 歳老いた賢者が現れて
「空の上からお前の世界、眺めてるように思ってごらん」
天からの 地上眺め
点のような 君や僕

 

 

焚き火囲んで さあ乾杯!今日も一日無事終えて

 

 

賢者の話はまだ続いてる
「戦いで得たその財宝は、そのうち全ては塵と化し」
「風が吹いたら空に舞い上がる」
後には荒れ果てた土地
立ち尽くす歳老いた僕

 

 


焚き火囲んで さあ語ろう!今日の出来事 明日の夢

 

「昨夜遅くに、夢をみたんだ。賢者に会って話聞いたよ」

 

「よく分からない話だったけど、ちょっと気になってね」

 

焚き火囲んで さあ乾杯!今日も一日無事終えて

 

 

 

 

焚火の映像を見てたら、炎の前でギターを弾きながら歌っているのがありました。

 

歌うのは、「森のシンガー・ソングライター」山田証さん、歌っている曲は「エデン風景」です。すっかり気に入って、YouTubeリピートしています。

 

 

 

 

ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー

 

 

 

 

【2017年12月31日】「焚き火」制作日誌です 〜 その⑥ ようやく完成しました!

 

 

「焚き火」ようやく完成しました!毎年必ず食べているお蕎麦も食べに行かずに作業をしていて、もう少しで年を越すところでしたが、これで気分良く新年を迎えることが出来ます。書き始めたこのブログも、何とか今年中にアップしたいです。

 

 
今年5月リリースのアルバム以降ちゃんと完成させる事が出来たのは、何とこの曲のみです。ブログでも度々歌詞やコード表などを上げていたように、決して作ってなかった訳ではないのですが、全て中途半端になっています。

 

 
原因は分かっています。こうして毎日ブログを更新し始めたからです。以前よりも、日々考える事がものすごく増えてしまい、自分の音楽すらも作りながらあれこれ考えてしまい、あえて途中で中断した曲も多々あるからです。でもこうして一曲作れてよかったです。来年度は月に一曲づつのペースで、作りかけの曲をどんどん仕上げていきたいと思います。

 

 

 

ところで、前回の制作日誌にも書いた焚火の音ですが、レコーディングの為じっくり聴いていると、一聴するとランダムに鳴っている筈のパチパチ音が、長い時間聴き続けると、ある一定の周期で、音がリズミカルに循環しているように聴こえてきます。躍動感すら感じてきます。だから、ずっと聴いていると、気持ち良くなってくるんですね。

 

 
人を癒すとされる「f/1ゆらぎ」とはこういう現象を指すのだと、今ようやく実感しました。
最近の音楽は、その制作過程がどんどんミクロ化されてきて、数十分の一や数百分の1、ビートをズラしたり、ボーカルの音程を、半音のそのまた数分の一修正したりなど (私の機材では両方とも出来ませんが) 、細部へのこだわりが尋常ではなくなってきています。

 

 
だからという訳ではありませんが、このような焚火の音や炎の揺らぎのように、大きな時間の流れで気持ち良さを感じさせる音楽が、少なくなってきているような気もします。歌も演奏も、ナチュラルに揺れるのは少なく、実にきっちりと聴こえます。

 

 
個人的には、ボーカルなどは部分部分修正してキレイに聴こえるよりは、生々しく揺れている方が好きなのですが。かつてのブライアン・フェリーさん (ロキシー・ミュージック) の揺れ動くボーカルなど、波のように気持ちよく聴こえました。
そんなこんなで、考えることも多かった、この「焚き火」制作でした。

 

 

 

 

画像だけでも。。