前回帰った時は、ローリング・ストーンズ。そして今回はヴェルヴェット・アンダーグラウンド。両バンド共に、安価なレコード・プレーヤーでこそ鳴らしたくなるロックです。
ヴェルヴェット・アンダーグラウンドは、’60年代にニューヨークで活動していたロック・バンドです。私は高校生の頃、雑誌でその名前を知りました。日本盤がようやくリリースされた頃です。そしてその頃には既にパンク/ニュー・ウェイヴの元祖的な伝説のバンド扱いされていました。
大学生になって、中古盤でバナナのジャケットで有名なファースト・アルバムを購入して聴きました。その音は、それまで自分が知っていた’60年代のバンド ーー ビートルズ、ストーンズ、フー、ドアーズ…、と、全く別の音楽に聴こえました。以降、全カタログを購入して、一時期毎日聴いていました。
今日聴いていて、今更ながら感じたのは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの音楽は、同時代のアメリカやイギリスのロック・バンドが大きく影響を受けている、ブルース及びR&B等のブラック・ミュージックの影響が、ほぼ見受けられないという事です。かといって、白人の伝統音楽 (クラシックやトラッド) の影響もありません。つまり、ある意味極めて純度の高いオリジナルな表現であるという事です。
ヴェルヴェッツ同様、ロックンロールに始まったビートルズ、ストーンズ…、たちは、その表現をどんどん広げて進化させていったのとは対照的に、ヴェルヴェッツは、最初から最後まで、2つ3つのコードを掻き鳴らしているだけです。その極端に限定された音世界の中で、自分たちの感覚・感性を解き放っている、そんな印象です。
以前書きましたが、私が生まれてから今までで、1番多く真剣に向き合って聴いた曲は、ルー・リード作「スウィート・ジェーン」です。この曲が初めて世に出たのは、ヴェルヴェット・アンダーグラウンドの4枚目のアルバム「ローデッド」に収録されて、です。以降、ヴェルヴェッツのライヴ盤やルー・リードさんのライブ盤で、何度も何度もリリースされています。
「スウィート・ジェーン」もヴェルヴェット・アンダーグラウンドも、多分この先、死ぬまでずっと定期的に聴き続けるのではないか。今日あらためて聴いていて、ふとそう思いました。