サウンドも言葉も試行錯誤を重ねて、ようやく完成しました。アレンジや構成に、まだ伸びしろがあるような気がするので、しばらく寝かしてから再度取り組もうかと考えています。
ところでこの「27CLUB」。テーマは数日前に書いたように、青春期・青年期の終わり、です。実はこのテーマ、洋の東西を問わず、いろんなアーティストが歌っています。それだけ興味深いテーマなのでしょう。
印象深い楽曲だと、その記事にも上げた「ロックンロールの自殺者」や、アズテック・カメラ「ウォーク・アウト・トゥ・ウインター」、ザ・クラッシュ「レベル・ワルツ」、イーグルス「サッド・カフェ」等が、私が聴き馴染んだロックだとパッと思い浮かびますが、一般的にこのテーマの超有名曲は、何といっても、荒井由美 (ユーミン) 作詞作曲、フォーク・グループ「バンバン」が歌った「いちご白書をもう一度」ではないかと。
「いちご白書」というアメリカ映画や、学生集会、就職が決まって髪を切ってきた時、といった、この時代ならではの言葉を実に上手く使って青春期の終わりを歌ったこの歌は、当時小学生だった私が聴いても胸が熱くなりました。作ったのがユーミンだったというのは、かなり後 (多分高校生くらい) になって知って、やっぱりユーミンって凄いなあと感心した記憶があります。
ところで上記の洋楽ロック曲の話。
デヴィッド・ボウイは「ロックンロール〜」を大トリに配したアルバム「ジギー・スターダスト」リリースの1年後に、当時のバック・バンド「スパイダーズ・フロム・マーズ」を解散、「ジギー」引退宣言。
ザ・クラッシュは「レベル・ワルツ」収録の「サンディニスタ!」リリース後、2枚のアルバムをリリース後解散。
イーグルスの「サッド・カフェ」に至っては、ラスト・アルバムのラスト曲で、バンドの挫折と青春の終わりを歌った、まさに解散宣言ともいえる歌詞世界です。(但しイーグルスは長い時を経て再結成)
アズテック・カメラのみ、しばらく活動は続いていきますが、「ウォーク・アウト〜」含む1st. アルバムの青春的瑞々しさは、2nd. アルバム以降では聴けません。(2nd. 「ナイフ」も3rd. 「ラヴ」も、とてもいいアルバムですが。当時はイギリス人って老成するのが早いなあと思ったものです)
つまり思うに、ロック・バンド自体も青春期の刹那の賜物だと言える気がします。
私のこの曲には、残念ながらユーミンのような気のきいた言葉は「27CLUB」ぐらいしか見当たりません。作ってから思ったのですが、もう数個、直接的なイメージを喚起させる言葉があってもよかったかなあと。これじゃあ、ヘヴィなロック・リスナーにしか分からないなあと…。
以下、歌詞最終版です。今回は文字数が多いのでスマホでも読み易いようにしてみました。
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27CLUB
やれる事など 何にもなかった やりたい事は 何にも出来ずに
やり過ごしてる 夏が過ぎてゆく 増えてゆくのは 煙草の吸い殻
欲しいものなど 何にもないから 寝転んでいる 何とかなるだろ
引きこもってる 何にもせずただ 呟いている どうでもいいさと
もうすぐ誕生日さ また今年もやってくる
ひとつ歳を重ねる 来年は…
漂っている 何にもいいこと ただ酔っている 何にもないけど
未だ待っている ちょっとのいいこと ただ鳴っている 鐘は百八つ
あれは26歳になった頃 もう少しで27クラブへの入会資格がなくなると
本気で思ったものだ
永遠に続くとも思えたこの道のり 降りるなら今しかない…
そう思ったものだ
自分の周りだと 当たり前のように就職している奴らが たくさんいた
子どもを授かり 若くして結婚して家庭を持った奴もいた
だけど自分には何にも考えられなかった
毎日毎日 ただ息を吸っては吐いて、吸っては吐いて 毎日毎日…
ある日の午後 ウトウトしていたら 見知らぬ老人が僕の前に現れた
ここは夢の中だと何故だか分かった
「何をぼんやりしてるんだ?」老人は語りかけた
「お前は歌を作ろうと、日々精進していたんじゃなかったのか?」
僕は答えた「僕には歌を作る才能なんか全然なかったんだと、やっと気づいたんです」
「この先のことを考えたら、不安で胸が潰れそうになるんです」
老人は更に語りかけた「この先だと?そんなものはいつまで経っても来ないさ」
「今が、ずっと続くだけだ」
「もしお前にとって歌が、空気や水や日々の食べものと同じく、どうしても必要なものならば、そのうち自然にお前に宿ることになるだろう」
「無理に作ろうとしても、それは無駄なことだ」
その言葉を聞いて僕は 27クラブ入会を考え直すことにした
そしてようやく気がついた 人生は、終わりが見えた時が本当の始まりなんだと
北陸地方は朝から雪です。