【2021年1月5日】歌詞はイデオロギーの確認 〜 ナイン・インチ・ネイルズ「アンド・オール・ザット・クッド・ハヴ・ビーン」を聴いて

いつもの昔話ですが、私の中高生の頃に好んで聴いていた洋楽のアルバム (もちろんLPレコード) には、8割がた、歌詞の対訳が載っていませんでした。それどころか、元の歌詞も怪しいのが多いくらいでした。(日本人が原盤を聴いて歌詞を起こしている為)

 

 

もちろん当時はインターネットもなく、情報は音楽雑誌とライナーノーツのみで、どんな事を歌っているのかを知る為には、歌詞を自分で翻訳するしかありませんでした。

 

 

当時知りたかったのは、歌詞の内容というよりも「このアーティストはどんな事を考えているんだろう?という事、つまり、楽曲に至るイデオロギー、思考回路、です。私は別に歌詞で感動は求めていません。

ミュージシャンのインタビューも少ない当時、歌詞を紐解く事によって、その人となりが理解出来るというか、その音を出す理由が分かるというか、つまり、楽曲をより理解する為のテキスト、ガイド、として、歌詞の意味を知りたかった訳です。

 

 

 

いろんなアーティストの気に入った歌を訳してみて、音が自分にフィットする人の言葉 (歌詞) は、やっぱり同じようにフィットする、という事です。そしてアーティスト自身のその数行の言葉 (歌詞) は、数10行、数100行に及ぶインタビューの数1000倍?、饒舌に音を語っています。

 

 

数日前にゲイリー・ニューマンさんの昔の歌「カーズ」「M.E.」の歌詞を上げましたが、あの音にはこの言葉しかない、逆にいえば、こんな事を妄想しているからあの音が出せるんだ、と、数十年ぶりに向き合って聴いて再確認しました。

「ワタシワ ホコリヲ食ラウ ワレワレワ スベテ停止スル ソレヲ死トヨブガ シカシ単ニ消エ去ルノミ ヒトリデワ 消エタクナイ ソコニイルノハ ワタシダケ」(M.E.)

音も、まさにそのまま↑こんな音。

 

 

 

何故今回こんな話を書いているかと言えば。数日前にg君に借りた、ナイン・インチ・ネイルズ「アンド・オール・ザット・クッド・ハヴ・ビーン」のディスク2が、あまりに良くって、思わず中高生の頃の「何歌ってるんだろう?」気分に陥ったからです。

 

 

このアルバム、例の轟音ギターやインダストリアル・ノイズは全く入ってなく、所謂アンプラグドの歌モノで、NINのファンにはおそらくとっつき難い音なのですが、私のような、単純にNINのメロディが好きな遅れてきたファンには最高のアルバムに聴こえます。

いや、ライブ・ヴァージョンのディスク1も全然聴きやすくて、これは「ダウンワード〜」や「フラジャイル」よりもしっくり入ってきます。(コアなファンの方、スミマセン。。)

 

 

一体どんな妄想を歌ってるんだろう。。(原詞も付いてない。。)