前回に続いて、またしても前々回「奥田民生ニュー・アルバム『カンタンカンタビレ』に思う」の続き。
この稿は後から思うところも多く、本日思い出したのは「そういえば宅録音源ばかり集めたガイドブックを買っていた筈」。本はこないだ整理したばかりだったので、簡単に見つかりました。この本も売りに出す予定でしたが、表紙の色褪せが半端でなく、それに何となくまた読むような気がして手元に置いといた本です。
この本は、純粋に宅録ばかりを集めた本ではなく、選者の独断による「宅録っぽい音」や「宅録的なコンセプトで制作された音」も含んでいて、私のような音楽マニアには、読みどころ満載の素晴らしい本です。紹介されているのは、8割がた私の知らないアーティストでした。
パラパラと適当に読んでいたのですが、選者の言葉のいくつかから、宅録は「純粋なもの」と定義付けられているようです。取り敢えず声を発したい、ギターの音を残しておきたい、そんな思いから全ての宅録はスタートしている、そんな風に読めました。なので、私が宅録ではないとした、打ちこみによる音楽も、それがプライヴェートな音なら宅録のカテゴリーに括られています。読んでいて、その方が正しいのではないかと思い直しました。
ディスク・ガイドだけではなく、間あいだにインタビューや宅録の歴史を考察した記事なども載っています。一番面白く読んだのは、「She Talks Silence」という、山口美波さんのソロ・プロジェクトの制作日誌。副題に「初めてのギターから、CDのリリースまで、She Talks Silence のその日、その日々にあったこと、850日ぶん (抜粋)。」とあります。
この本を買った頃は、まさか自分で曲を作って、CDまでリリースするなど、夢にも思っていませんでした。She Talks Silence の制作日誌も、他人事として読んでいたんだろうなあと思います。(読んだ事を憶えてなかったので)
今読むと、時々このブログに上げている私の楽曲制作日誌と何となく似ていて、その悪戦苦闘ぶりは身につまされる思いがしました。月並みな言葉ですが、感動しました。
生きていく上で、「やりたい事」に勝る優先事項はありません。そして「やりたい事」=「必ず出来る事」です。あらためて思いました。
(制作日誌・1日目)