2月19日のブログ「ドラゴンアッシュ、20周年でした」に、「『ハーヴェスト』(’03) や、シングル盤「『ライフ・ゴーズ・オン』『ファンタジスタ』(共に’02年) もどこかに眠っている筈。」と書いてから、気になって探したところ、見つかりました。
見つかったのは「ハーヴェスト」と「ライフ・ゴーズ・オン」の二枚でした。「ファンタジスタ」は、アルバム「ハーヴェスト」に収録されていたので、まあ良しとします。(タイトル曲以外のアルバム未収録曲が気になりますが)
この二枚は、ドラゴンアッシュの大きな転機となった二枚です。特に「ハーヴェスト」ですが、何が凄いかといって、こんなにマニアックなドラムンベースのミクスチャー・ロックが、ヒット・チャートのNO.1になっていることが、つまりたくさん売れたということが、一番凄い点だと思います。
インディーズで先鋭的でマニアックな音を出すバンド/個人が、急に増え始めてきたのもこの辺の時代からだという気がします。機材の充実やロー・コスト化、’90年代からの音楽人口の増加による、底辺の拡大、など、理由はいろいろ考えられます。
私はこの辺の時代から、J-ポップはメジャーのアーティストよりも、インディーズのアーティストを主に聴きはじめていました。そしてそんなインディーズの音楽を聴いた耳でドラゴンアッシュを聴いても、全く違和感なく馴染めました。つまり、マニアックな音ながらも、大衆音楽として受け入れられていたということです。
シングル「ライフ・ゴーズ・オン」は、当時TVのCM曲として流れていた曲です。この曲もNO.1ヒットです。まるまる洋楽ライクなこの曲が大ヒットしたという事実は、日本人の感性も随分変わったという証明ですね。この曲のリリースは’02年です。
ちなみにこの年、2002年のヒット曲の売上トップ10のうち、宇多田ヒカルさんが3曲、浜崎あゆみさんが2曲、入っています。ドラゴンアッシュのこの曲は、4番目に売れていました。他にはグレイ、平井堅さんなど。(オリコン「2002年 シングル年間TOP100」より)
3位の元ちとせさん「ワダツミの木」以外は、全て和製ポップスです。「ワダツミ〜」のみ、昔の歌謡曲っぽい歌メロですが、リズムはレゲエ・ビートです。なので、TOP10全部の曲が、洋楽の影響が大きい曲になります。
私の少年時代のヒット・チャートとは隔世の感があります。
ところがそれから15年経った現在のメジャー・シーンの音ですが、’00年代のように、洋楽を聴いて育った世代がその影響下で鳴らしているのではなく、’90年代の渋谷系やミスチル 〜 ’00年代のドラゴンアッシュや宇多田ヒカル、B’zやグレイ、バンプの曲たちを少年少女時代に聴いて育った世代が鳴らしている気がします。つまり、洋楽を聴かないアーティストが段々増えているのではないかと。
洋楽の文脈からどんどん離れた音楽に進化している、最近の一部のJ-ポップを聴くと、そんな気がします。一回りして、日本的になっているようにすら感じます。
最近の洋楽は日本ではさっぱり売れていないそうです。新譜購入のメインである若い世代が感じる音のかっこよさの基準が変わったからなのでしょう。私の若い頃のように、洋楽はJ-ポップの上位互換ではなくなったと感じます。洋楽っぽい=カッコいい、ではなくなったのでしょう。だから、売れない。
でもそうやって洋楽から離れて、日本的だからこそ逆に、日本から世界のマーケットに飛び出していくアーティストが、今後たくさん出て来そうな、そんな予感がします。
米津玄師さんは、このHPで知り合った若い音楽リスナーに「この人は聴いた方がいいよ」と勧められたアーティストです。
時々、生まれる前?に聴いたような、大昔の記憶をくすぐるメロディが奏でられてハッとさせられます。とても日本的だと感じます。音は情報量がぎっしり詰まってBPMも速い、そして早口で歌う、今どきのアレンジです。このアニメのPVは「アイネクライネ」(’14年)。大好きな曲です。