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【2020年8月31日】前回の続き 〜 ポップスの普遍性とマイルス・デイビスの慧眼

前回の続き。最後に「もしマイルスさんがこの後、このアプローチを発展させての曲を作っていたら、シーン (ジャズもヒップホップも) が大きく変わっていたんじゃないかと感じます。」と書いています。これについて、もう少し。

 

 

 

前回上げた「ドゥー・バップ」の数年前、「ユア・アンダー・アレスト」というアルバムを、マイルス・デイビスさんはリリースしています。’85年、ポップス全盛の時代です。

このアルバムでは、当時のヒット・ソングのカバー・ヴァージョンが聴けます。マイケル・ジャクソン「ヒューマン・ネイチャー」、シンディー・ローパー「タイム・アフター・タイム」の2曲です。

 

 

‘80年代の中頃といえば、ロックはパンク/ニュー・ウェイヴのムーブメントがすっかり落ち着き、MTVが台頭して、洋楽といえばポップス、の時代でした。「ヒューマン・ネイチャー」「タイム・アフター・タイム」は、そんな時代が産み落とした最高レベルのポップ・ソングです。

 

 

 

最高レベルと今だから言えるのですが、当時は全然そう思ってはいませんでした。単なるヒット曲として聴いていました。

ところが時を経て、いろんな人々のカバーも聴いたりして、気付くとこの2曲は、自分の中でも特別な楽曲になっています。

 

 

この2曲は、リマール「ネヴァー・エンディング・ストーリー」、TOTO「アフリカ」、それから大ヒットはしていませんが、エルヴィス・コステロ「アリソン」、ニュー・オーダー「ビザール・ラヴ・トライアングル」…共々、私の中での80’s・スタンダードとして、今でも車内などで時々聴いています。

つまり今となっては、一過性のヒット曲ではなく、時代の流れに耐えうる普遍性があるいうことです。

 

 

 

「ヒューマン・ネイチャー」「タイム・アフター・タイム」、私は30年経って、ようやくそう実感しているのですが、マイルスさんは早々に、アルバムに、更にはライブのメインの楽曲に取り上げています。つまり、この2曲は当時既に、永きにわたってスタンダード化するとの確信があったのでしょう。恐るべし慧眼です。

 

 

 

そういう訳で、ヒップホップに関わった最晩年の作品がとても興味深いのです。マイルスさんの、時代を・音楽を捉える慧眼が、ヒップホップに向けられているーー。そんなことを考えながら聴く「ドゥー・バップ」「ユア・アンダー・アレスト」の響きは、格別な何かを感じます。

 

 

 

30年後、私の楽曲はどう聴こえるんでしょうか?長生きして聴き返したいものです。↓ こちらから聴けます。

 

 

 

 

 

【2020年8月29日】ジャズからのヒップホップへのアプローチ 〜 ロバート・グラスパー・エクスペリメントのニュー・シングルとマイルス・デイヴィス「ドゥー・バップ」

 

 

 

数ヶ月前に偶然購入した「ブラック・レイディオ」で、すっかりファンになった、ロバート・グラスパー・エクスペリメントのニュー・シングルが上がったとのニュース。早速YouTubeを観ました。

今回も、ジャズというよりも人力ヒップホップのビートに穏やかなボーカルが乗っかるスタイルです。この曲を聴く限りだと、’21年にリリースを予定されているアルバムもとても楽しみです。

 

 

ところで、そのロバート・グラスパー・エクスペリメントのアルバム「ブラック・レイディオ」1&2を聴いてから、ジャズからのアプローチのヒップホップを、時々ですが、YouTubeやSoundCloudで探して聴いたりしています。

 

 

それで見つけた?のが、マイルス・デイヴィス「ドゥー・バップ」(‘91年)。マイルスさん生前最後のスタジオ・レコーディング集で、完成を待たずに死去。プロデューサーが音源をまとめてリリースされたアルバムです。

 

 

 

 

 

このアルバム、音を聴いた後、情報を知りたくていくつかのサイトを覗いてみたところ、ジャズ・ファンやマイルス・ファンには殆ど評価されてない (スルーされている) みたいですが、私はとても気に入って、時々聴いています。YouTubeで全曲視聴出来ます。

 

 

ジャズのレアグルーヴを取り入れたヒップホップが一般的に聴かれだしたのは、おそらくゼロ年代〜10年代ではないかと。その時代を予感するように、その10年前からこういう音を出していたのは驚きです。

「ドゥー・バップ」は、近年のレアグルーヴのヒップホップとは全く逆のアプローチです。機械のビートにトランペットが乗っかるスタイル。今聴くと、妙に新鮮です。

 

 

 

たられば、になりますが、もしマイルスさんがこの後、このアプローチを発展させての曲を作っていたら、シーン (ジャズもヒップホップも) が大きく変わっていたんじゃないかと感じます。今更ながら思いました。