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【2024年4月19日】パレスチナ問題に思う 〜 デヴィッド・ボウイ「ラヴィング・ジ・エイリアン」を聴きながら

 

 

 

昨年から更なる激化の一途を辿るパレスチナ問題です。争いは既に2000年もの間続いていて、今更まるく収まる問題ではありません。どういう問題かについては、いろんな文献やウェブサイトを掘れば詳しいので、ここでは端折ります。

このパレスチナ問題や、未だ続いているウクライナ戦争 ーー (パレスチナ同様、昔からの紛争の地です) など、まさに「人類の歴史は争いの歴史」という言葉がそのまま当てはまっています。

 

 

 

人は、見えないモノや未知の何かーーーつまりコミュニケーションのとれない他者に対して、必要以上に警戒します。例えば、転校生や異国の人、そして近年のコロナウイルスも。

「幽霊の 正体見たり 枯れ尾花」という諺は、まさしくそんなコミュニケーション不能状態を皮肉ったものではないかと思います。

 

 

数年前の (もう数年前!) コロナ禍など、まさにこの幽霊状態ではなかったかと。マスク警察や車の他県ナンバー排除等、今となってはあの騒ぎは一体何だったんだと思う方も多いのではないかと。けれども、自分の常識では理解出来ないものを攻撃するあの状態が、人の本性なのかなとも思います。

 

 

 

戦争という行為も、まさにコミュニケーションのとれない・姿の見えない他者、に対するメクラ滅法な攻撃、ではないかという気がします。とても各国のエリートたち (そう。忘れがちになりますが、政治家はエリート集団です) が考えて行っている行為だと思えません。そこには理性は排除されて野蛮な行為だけが存在します。まるでコロナ禍の「村八分」「マスク警察」のように。

 

 

戦争に対して私が漠然とですがそう思うようになったのは、’84年のデヴィッド・ボウイのアルバム「トゥナイト」の1曲目「ラヴィング・ジ・エイリアン」という曲を聴いてからです。正確にいうと、聴いてからというより、聴いてじっくりと考えてからです。この曲はゼロ年代の「リアリティ・ツアー」のセットリストにも入っていました。今聴くとアレンジと音質に時代を感じますが、’80年代のボウイ・ソングの埋もれた傑作の1曲です。歌詞は勿論、メロディも格別です。と書いていて、数えたらもう39年程経っていました。

 

 

この曲は宗教や思想の対立、それから当時のパレスチナ問題、について歌われています。時事問題については客観的な視点・捻った視点で心情吐露的に歌われる事が多いボウイさんの歌にあって、この曲のサビでは珍しく結論?を叩きつけています。それは、繰り返し歌われる、この箇所です。

 

Believing the strangest things, loving the alien

 

最も奇妙なものに目を向けて (信じて)、異邦人を愛する。この思想は、「スペース・オディティ」から一貫している「ボウイ思想」です。

 

 

コロナ禍では隣人が敵のように思えた方も多かったと思います。「異邦人を愛する」という中々出来ない?行為の前に、先ずは隣人や家族を愛する事から始めないと。最近のパレスチナ問題関連のニュースを観て、久しぶりに「ラヴィング・ジ・エイリアン」を聴いて、そう思いました。

 

 

 

 

「ラヴィング・ジ・エイリアン」MVより。

 

 

【2024年4月11日】実家でブライアン・イーノを聴く

このところ、小さい音で聴いても楽しめるような、耳にやさしい音楽ばかり聴いています。久しぶりに実家に帰った際に聴いていたのは、ボリュームを絞って聴いても楽しめる音楽の最たるジャンル「アンビエント・ミュージック」の元祖、ブライアン・イーノさんの初期のアンビエント・シリーズです。

 

 

このアンビエント・ミュージックについて、当時のレコードに、ブライアン・イーノ本人によるライナー・ノーツが書かれていました。私がツラツラと説明するより全然面白い文章なので上げておきます。今となっては貴重な文献ではないかなと。気になる方は、拡大して読んでみて下さい。

 

 

 

 

 

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→ (右) 特によく聴いたのは、アンビエント・シリーズの第1弾「ミュージック・フォー・エアポート」(‘79年) です。小さい音で聴かれがちですが、実は大音量で鳴らしても聴きごたえが十分のアルバムで、若い頃の私はこのアルバムをそれなりに大きな音で聴いていました。エコー処理が素晴らしいです。

 

 

← (左) あと、ブライアン・イーノ作品ではありませんが、よく聴いていたのが、ジョン・ハッセル「マラヤの夢語り」(‘81年)。

この作品は、前衛トランペッター、ジョン・ハッセル×ブライアン・イーノによる1980年の「第四世界の鼓動」に続いて、ジョン・ハッセルが引き続き、同じく「第四世界」のコンセプトで作ったアルバムです。

‘00年前後のエレクトロニカが好きな方に是非オススメします。’80年前後に、既にエレクトロニカのグリッチのような音響が鳴らされています。