新曲「一本の線」、実はコード進行に元ネタがあります。日本人のジャズ・ミュージシャン、菊地雅章さんの’81年リリース・アルバム「ススト」収録の「ガンボ」です。
「ススト」、私は高校生当時、NHK FM「クロスオーバー・イレブン」で数曲聴いてすっかりトリコになりレコードを購入しています。私が所有している唯一のジャズのレコードです。今ではジャズの名盤として世界的に周知されているみたいです。これには納得です。
このアルバム、当時はジャズ/フュージョンというより、私はトーキング・ヘッズ「リメイン・イン・ライト」と並べて聴いていました。つまり、ブラックではない、泥臭くないファンク・ミュージックだと認識していたという訳です。不思議なジャケットと相まって、私には近未来の音楽に聴こえたものです。
「ガンボ」は、「ススト」の3曲目です。アルバムは全4曲。長尺曲ばかりで、「ガンボ」も10分以上ありますが、グルーヴに身を任せて聴くと全然長く感じません。
変拍子のレゲエのリズムに絡みつくように4つのコードが循環します。その循環するコードが切なくメロウで、アルバム全4曲中、最も聴きやすい曲となっています。
4つのコードは「E♭m」「E♭」「G♯m」「D♭7」です。ダイアトニック的には決して自然な進行ではありません。スケールで言うと、マイナー→メジャー…と行ったり来たりの実に不安定な進行です。ところがこれが自然で美しく響くから不思議です。
「一本の線」を作りながら、そんな当時の事を思い出しました。結局「ガンボ」の一部をサンプリングして使用する事にしました。いつも以上に丁寧に作らねば…。