「絵本を読んでみる」(平凡社 1999年8月刊)
「絵本を読んでみる」は随分前に買って、そのうち読もうと思って放っておいた本です。実は私には、そういう本がけっこうあります。
思い出して読みたくなり、部屋の段ボールを整頓していたら、すぐに見つかりました。
この本を読みたくなったきっかけは、ライブで、自曲「夕やけ」を歌おうかと思ったことからです。
「夕やけ」は以前にも書きましたが、童謡を意識して書いた曲です。
童謡は、子どもが楽しむことを前提にして作られた歌で、シンプルに聴こえるメロディと分かりやすい言葉が特徴です。だけど大人でも、耳を落ち着けて聴くと (深読みならぬ深聴き?) メロディも歌詞も、実に味わい深いものがあり、シンプルながらもいろんな角度から楽しめます。
そして、この本「絵本を読んでみる」。作者は、五味太郎氏 (絵本作家) と小野明氏 (この人は何をしている人かよく分かりません) 。五味氏が語り、小野氏が受ける、というスタイルです。
絵本も童謡と同様、子どもが初めて出会う物語 (言葉) のようなものですが、童謡のように、深読みすればするほど深く味わえます。この本は、そんな「深読み」が語られています。
実は私は以前 (20年以上前?)、仕事で絵本を扱う事になり、それなりに有名な絵本をかたっぱしから読んだことがあります。そしてその時感じたのが「これは大人がしっかり読んでも、結構面白いものでは?」です。
当時は本当に忙しくて、じっくり読むヒマもなく、「そのうち時間をかけてじっくり読んでみよう」と思っただけで、そのままになってしまいました。
そうそう。こうして書きながら思い出してきましたが、この「絵本を読んでみる」を買ったのは、ちょうどそんな時期だったような気がしてきました。いつ出版されたか、本の後ろを見たら、1999年と記されていました。まさに、その時期です。
そしてここ数年、自分で歌を作り始めてから、「シンプルな表現」というのは実はとても難しく、深い考えと研ぎ澄ました感性と、高度な表現スキルが必要だということが分かってきました。
シンプルで分かりやすい、というのは、いろんな、余計なものを削ぎ落としていかないといけません。削って削って、それでも残った核のようなものが、最終的な完成形となるからです。
私の表現は、まだまだ余計なものが多すぎるような気がしています。
今でも歌い継がれている・読み継がれている、童謡や絵本の「削ぎ落とした感」は、多分に「時間」のためだと思います。時の流れが、表現の質を担保しています。
(例え話。クラシックの曲って、どうしていい曲ばっかりなの?と感じる方が多いと思いますが、あれは、時の流れに淘汰されて、いい曲しか残ってないからです。童謡や絵本も同じく、です。)
そんないろんな思いから、この本を思い出しました。
そして五味太郎氏の絵本も、その当時触れました。それからこの本 (絵本を〜) に出会い、この人は絵本をどのように読んでいるんだろうという興味から購入したのですが、当時は絵本同様、「この本は読むにはまだ早そうだ。そのうち時間をかけてじっくり読んでみよう」と思い、放っておいた次第です。
そしてまずは第1章「うさこちゃんとうみ」ですが、僅か30数ページですが、内容が濃く深く、読んでグッタリしました。でも、今なら読めそうです。
1日1章ずつ、コツコツと読んでいきたいと思います。(活字慣れしていないので。。)