自分の音楽 ー 楽曲について」カテゴリーアーカイブ

【2024年6月20日】アルバム「音楽を聴く犬」サブスクで多くの方に聴かれていました

1ヶ月毎に集計されるサブスクでのリスニング回数、アルバム「音楽を聴く犬」最初の1ヶ月の結果がきました。過去のアルバムの中で一番多く聴かれていて嬉しい限りです。モチベーションが爆上がりしました。

 

 

今回の結果も、前作「retrospective」同様、アルバム曲全部、割と満遍なく聴かれていました。エレクトロニカがバックトラックのコラボ曲である、1曲目「Civilization」が、世界でよく聴かれていて、やっぱりこういう曲は外国人に受けるんだなあと、何故か納得しました。

聴いて下さった方、どうもありがとうございました。引き続き創作活動がんばります。

 

 

 

 

 

【2024年4月17日】◉「音楽を聴く犬」セルフ・ライナーノーツ

「音楽を聴く犬」9曲中7曲を手伝って頂いたg君から、セルフ・ライナーノーツを頂きました。面白いので、私だけ読むのは勿体無いので、この場を借りて上げておきます。勿論g君了承済みです。どうもありがとうございました。

 

 

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ツボカワヤスロウ「音楽を聴く犬」セルフライナーノーツ

 

 

1,8以外のトラックにギター・たまにベースで参加。あくまでも自分が参加した曲の裏話を中心に。

 

1. Civilization
2. ナナイロ飛行船
3. ある一日
4. ネット
5. 季節
6. シーシュポスの神話
7. 革命家の死
8. 音楽を聴く犬
9. encore

 

 

1. Civilization
ツボカワさん初の楽曲提供曲。
トラックメーカーがエレクトロニカをメインにやってる方とのことで、とにかくテクスチャの構造美が美しい。ドリルン的なビートがあくまでパーカッションとして鳴っているのが面白い。
昨年11月にはテレビ番組「Mapthアワー」でも披露され、重宝している曲なのはなんとなく伝わってたけど、アルバムの一曲目に来るのは意外だった。ツボカワさんのアルバムは冒頭に名刺代わり的なものよりも、変化球が置かれがちな気がする。

 

2. ナナイロ飛行船
ギターに加え、初めてベースでも参加した曲。ベースはメインでやってないけど、間奏前の4弦ベースの音域ギリギリまで使うフレージングは手癖になってる節あり。実は間奏以降にコーラスを入れようと思ってボーカルを録ったりもしたけど、主張が激しすぎる気がしたから送らなかった。
ギターはところどころ「kisetsu. (2020年作)」収録、”限りなく穏やかに”のセルフオマージュ。あの曲はツボカワさんの曲で初めて録音に加わった曲で、4年も経ったし一回ぐらいやってもいいかなって。もっと確信犯的なフレーズも入れてたけどさすがにボツになった。

 

3. ある一日
個人的にイチ押し曲。さわやかインダストリアル・ポップ。
前半部は開放感がある一方ノイズが閉塞的に鳴るので、アコギではなく空気感の少ないエレキの生音をコンデンサーマイクで録ったものとピエゾピックアップで録ったものを試した。この手法は最近個人的にもよく試している。
ストラトでフロントリアのハーフトーンが出せるよう改造したので、サビ以降はそれを採用。リードトーンも珍しくそれ。ダブルテンポのサビはアニソンになりそうな疾走感。
サビ終わりでトラックを止めてギターのダブルストップだけを鳴らす、隙間を活かしたアレンジにするのも考えたけど、あんまやると元のトラックをスポイルするのでやめた。
この世で最もいいコードの一つはCM7。「港を望む公園 (2022年作)」もだが、これのコードトーンを使う曲はいいフレーズが浮かびやすい。

 

4. ネット
ツボカワさんと初めて会ったときには既に存在していた曲。7年ぐらい前の曲らしい。本人的には難産な曲と思われる。当初はキーも1音高く、通底するギター以外は異なる部分も多かった。ローファイな風味だったのでギターもセミアコであまりエッジを立たせないようにした。けどストラトで録ったのもそれはそれでローファイヒップホップっぽさがあって、ちょっとだけ使われている。サビは色んなフレーズを試したけどどれも上手くいかず、シンプルなのに落ち着いた。引き算の美学。
実は10年ぐらい温めている曲もあり、それも自分が参加しているが未だ日の目を浴びていない。

 

5. 季節
個人的超難産曲。最初はキーが1音高い、Like a Rolling Stone feat. スピッツなギターポップで、そのバージョンだけでも年単位かけて録った。しかしふと出来上がったこのバージョンが思いのほか良く、これでいいのでは?と満場一致に。でも前のバージョンがお蔵入りなのはちょっと悔しかったから、少しだけその時のアレンジを踏襲したフレーズを練り込んでいる。さらに別バージョンも作っていたらしい。
タイトルは2020年発表「kisetsu.」より。だいぶ前のアルバムタイトルがここに来て回収されるの、Carcassみたい。

 

6. シーシュポスの神話
ダブ的な緊張感のあるポエトリー曲。インダストリアルな感じもあり。ヴァース部分はほぼワンコードに等しく、メジャーかマイナーか定まらない感じが好み。たまにパニングとかミックスの提案をすることがあるんだけど、これはその一つ。
そう聞くとファンクっぽいけどいかんせん音像自体はそうでもないので、この雰囲気を崩さないカッティングというのが難しく、シンプルだがしばらく考えた。結果幾何学的なアレンジに。ディレイのかかり方が雨みたい。
昨年の「Mapthアワー」(ツボカワ注:ケーブルTVの番組) 出演時、土砂降りだったんだけど行きの車の中でこれのデモが流れていてすごく合っていた。雨に合う曲だと思う。ヒリヒリした歌詞を含め。

 

7. 革命家の死
タイムリーな逃亡犯というテーマにIggy Pop “Lust for Life”という大ネタ由来のモータウン・ビートということで、映画『トレインスポッティング』とのダブルミーニングかと思って勝手にニヤニヤしたけどツボカワさんはトレインスポッティング自体は観たことがなく、偶然らしい。何を隠そう、主人公レントンたちが奔走するさまを映しながら流れるのが”Lust for Life”である。
本作では唯一SGがメインの曲。アウトロのフレーズは擬似12弦的な、倍音感が独特になるような変則チューニングにした。

 

8. 音楽を聴く犬
タイトル曲。イヌをアートワークに使うという構想を聞いた時点からこの曲が入るんじゃなかろうかと思った。移り変わるツボカワさんの音楽性の中で、比較的従来の路線に当たる曲。しかしドラムはブーンバップ的というか、ボトムに重心を感じるところから最近のツボカワ節を感じる。2分ごろからのシンセがローファイで小粋。
これもまた別バージョンが存在し、初期バージョンはコロナの病み上がりに聴いた。
この曲で終わってもおかしくなさそうなところで次の曲。

 

9. encore
タイトルに相応しい配置。ニューウェイヴな曲で、タイトなトラックの中でギターソロを弾くのはいつも憚られる。この手のトラックでお蔵入りになったものが以下略。
たぶんツボカワさんの曲で一番速いフレーズ。最初打ち込み音源でフレーズを聴いた時からややこしいなぁと内心尻込みしていたが、案外弾けた。ある種生々しいところ含めて気に入られている。
こういう時は意外と汚い音の方が合ったりする。だからファズ。今作の歪んだギターのフレーズにはファズをよく使った。