【2021年4月2日】マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの立体音響に思う

 

 

 

マイ・ブラッディ・ヴァレンタインの音源がサブスク&デジタル解禁だそうです。このバンドは’80年代末から’90年代にかけて「イズント・エニシング」「ラヴレス」という2枚の素晴らしいアルバムをリリースして、その後20年程沈黙してしまったアイルランドのバンドです。

 

 

このバンド、ロック史的にはシューゲイザーというジャンルに分類されていますが、私見では、当時のシューゲイザー、ジーザス&メリー・チェイン、ライド、ペイルセインツ…とは一線を画す、似て非なる音楽ではないかと感じていました。

 

 

 

話は変わりますが、私の子どもの頃、「3Dメガネ」というのが流行ったことがありました。右と左にそれぞれ赤と青のフィルムを貼っただけの他愛のないものですが、このメガネで「アナグリフ」という特殊な処理をした画像を見ると、その画像は驚くほど鮮明な立体画像に見えます。今も地味ながらあるみたいです。

 

こんなメガネとこんな画像です。↓

 

 

 

 

 

マイブラの音響は、まさにこの「アナグリフ」のようです。アナグリフは「3Dメガネ」を通して立体画像を演出しますが、マイブラの立体音響は「ヘッドフォンで大ボリューム」を通して、見事なまでに目前に現われます。

 

 

轟音ギターというと、感情を表出した「エモーショナルな表現」と見られがちですが、マイブラの轟音ギターは、エモーションや情緒などお構いなしに只々クールに鳴っています。ヴォリュームを上げれば上げる程、幾重にも折り重なった音世界が、立体的に鮮明に浮き上がってきます。

 

 

 

ギター・ロックの世界観を根底から覆したこのバンドの音に、ギター・ロックを聴かない音楽ファン (今の私もそう) にこそ聴いて頂きたい、そう思います。

 

 

 

 

 

数年前「ラヴレス」リマスター盤購入時に、CDのオマケに頂いたポスター。