前回「本を読まなくなった」と書いたのが、どうやらフラグだったようで、先日ぶらっと入った、とあるCDと古書のイベント場で、あっさりと本を購入してしまいました。買ったのは、ラッパーであり文筆家であった、故・ECDさんの「ECDIARY」(‘04年)。本を読んだのはどれだけぶりでしょうか。
ECDさんの初めての著書であるこの「ECDIARY」、私が読んだ他の著書と同じく、日常生活や音楽活動、そして音楽やカルチャーに関する雑感を簡潔な文章でまとめたもので、あっという間に読了してしまいました。
何度か書いていますが、共感出来るところがとても多く、というか、私の方が影響を受けていて感化されているという感じです。この人がいなかったら、私は日本のヒップホップは聴いていないんじゃないか、今となってはそんな気さえします。
数年ぶりにその文章に触れて初めて気付いたのは、センテンスが短く、リズミカルに繋がっていること。そして誤解を恐れない断定的表現が多い。それがスラスラと読める一因ではないかと。つまり、彼の楽曲で聴けるリリックのようです。(今までは、そんなところはあまり考えずに読んでいました)
日記の後半に、当時のCCCD (コピー・コントロール・CD=PCでコピー出来ないCD) 騒ぎについての言及があり、懐かしく読みました。
今となっては「タダでコピー出来るからCDが売れないんだ」のレコード会社理論は全く的外れであることが自明ですが、当時は真剣に言う方々がいらっしゃって、実際にCCCDがリリースされていた訳です。
この言及は20年近く経った今でも、サブスクとフィジカルの問題にも重ねることが出来る素晴らしい意見ではないかと、大いに共感しました。そのまま写メって載せます。
最後の方。
…CD−Rには音を聴くという使い途しかない。しかし、オリジナルであるCDには愛情を注ぐという、無限大の使い途があるのだ。ポテンシャルが圧倒的に違うのだ。その点でコピーがオリジナルを凌駕することはありえない。
私が日々デジタル音源を聴きつつも気に入ったらCDを購入する理由が、まさにこれに尽きます。
本当に久しぶりにECD節を堪能出来ました。