【2018年2月9日】「老人の歌」が聴きたい

 

 

 

オジー・オズボーンさんは69歳。この方の他にもツアー引退表明をされた大物アーティストは、私の知る限り、エルトン・ジョンさん (70歳)、ポール・サイモンさん(76歳)、などがいらっしゃいます。
いずれも世界中で愛された (もちろん日本でも) アーティストです。

 

 

私の若い頃は、ロック・アーティストが長生きしての引退など、考えもしませんでした。ロックは若者の音楽で、だからローリング・ストーンズなど、私がロックを聴きはじめた’70年代の終わりにして、既に「超ベテラン」扱いされていました。メンバーはまだ30代後半〜40代だったと思いますが、「ジジイはもうダメだ」みたいな扱いが、イギリスのパンク/ニュー・ウェイヴのミュージシャンの間で言われていました。
そんな事を言っていたうちの一人、ポール・ウェラーさんなど、59歳で現役バリバリで、こないだ来日公演まで行っていますが。時代は変わったものです。

 
ところで、上記のツアー引退表明した3人のうち、若い頃の音楽を伝統芸能化して活動を続けているのではなく、常に時代の音を取り入れて、現役感溢れる音楽を作り続けているのが、ポール・サイモンさんです。

 

 

私が高校生の頃サイモン&ガーファンクルは、解散から11年ぶりに再結成し、ニューヨークのセントラル・パークでフリー・コンサートを行い、大きな話題になりました。何と53万人もの人々が集まったそうです。日本でもニュースになり、ラジオでもしょっ中オンエアされていましたが、当時は全く耳に残りませんでした。
それから数年後、吉田秋生さんの大傑作マンガ「カリフォルニア物語」を読んだ際、物語中に、登場人物の行動や心象風景と重ねて、サイモン&ガーファンクルの「ザ・ボクサー」という曲の歌詞の殆んどを引用されていました。
このシーンが本当に印象的で、「ザ・ボクサー」聴きたさに、サイモン&ガーファンクルのベスト盤を購入しました。そのベスト盤を聴くと、どの曲も良くて、結局愛聴盤になりました。
ポール・サイモンさんの音楽には、そんな思い出があります。

 
ポップスやロックはいつの時代も、若者の音楽でした。歳をとったら「卒業」する音楽でした。ところが今や、ロックフェスやライブに行っても、40代・50代のオーディエンスがゴロゴロと見かける時代です。
今、年寄りのアーティストたちには、若い頃の最大のテーマであった「恋愛」に匹敵した歌うテーマ「死」「死を意識した生」が残されているのではないでしょうか。
年老いていくビッグ・アーティストたちには、若い頃の音楽の拡大再生産ではなく、リアルに「死と生」を表現した音楽も是非歌ってほしいと、ちょっと思います。特に、ポール・サイモンさんに。

 

 

サイモン&ガーファンクル時代に既に老人目線の歌はあるので、現代版というか、リアルなやつが聴きたいです。

 

 

 

 

 

 

「ザ・ボクサー」を歌う、サイモン&ガーファンクル。