数日前、yahoo!ニュースの記事から大貫妙子さんの音楽について書いてみましたが、例によって、あれから数枚持っている他のアルバムも聴いています。
今回は、大貫さんのもう一つの側面、「かわいい歌」について。
‘86年のアルバム「Comin’ Soon」は、子ども文学にインスパイアされた、かわいい楽曲で構成されたアルバムです。「ぼくはくま」みたいな歌がズラッと並んでいる感じです。
大貫さんの声は、いわゆる「かわいい声」ではなく(失礼)、凛としたクールな声で、このアルバムの音も、ナチュラルであたたかみのある音ではなく、いわゆるテクノっぽい、無機的な音が主体です。
だからこそ、余計にかわいいメロディラインが際立つのかなと、今聴いていて感じます。ベタベタしてなくてクールなかわいさ、でしょうか。数日前に上げた「Cliche」「SIGNIFIE」「カイエ」、特に「Cliche」「SIGNIFIE」は、バックトラックがそれなりに時代を感じさせますが、この「Comin’ Soon」は、エヴァーグリーンな雰囲気です。
大貫さんの音楽を十数年ぶりに聴いて、発見した事があります。凛として聴こえるのは、音節を区切るように歌う、歌い方に秘密があるのではないかと言うことです。まあ秘密という程でもありませんが (笑)。
言葉の一言一言がメロディに流されず、時間の流れに刻むように歌われる、そんな歌い方が、あの緊張感を生み出しているのではないでしょうか。それはこのアルバムでも同様で、かわいいメロディラインに言葉は流れず、一言ずつ区切って歌われています。
そう思って聴くと、言葉どころか、メロディラインも切れぎれの曲も多く、大貫曲の魅力は「行間を読む」ならぬ「曲間を聴く」にあることに気付かされました。
「Comin’ Soon」収録曲の中でも特に好きな曲は、メロディが際立ってかわいい、原田知世さんが歌った曲のセルフ・カヴァー「地下鉄のザジ」です。大貫メロディの魔法が存分に堪能出来ます。
最近の音楽で、こういうかわいくてクールなのがあったら、どなたか教えていただきたいです。