【2019年10月4日】ジャケットで2倍楽しもう!〜 第2回 ザ・ルースターズ

数ヶ月前に当ブログで、ジョイ・ディヴィジョン&ニュー・オーダーの12インチ・シングルのジャケットを開陳したところ、数名の方からうれしいリアクションがありました。マニアックなファンの方々はこんな場末のブログ記事も、目ざとく見つけてくるものですね。

 

 

という訳で、実家に帰ってアナログ盤をアーティスト別に整頓する際に、ついでにブログにもアップしていこうかと思い、勝手にシリーズ化しました。第2回は、’80年代の日本のニュー・ウェイヴ・シーンの孤高のバンド、ザ・ルースターズです。

 

 

 

アルバムも全部持っている訳でもないのに、何故今回取り上げたかと言えば、ごく最近、アルバム「φ」(ファイ) を聴き返して、今更ですがこれがホントによかったからです。実家に行くなら、絶対にレコードを探して手に取ろうと。それでついでにブログにも上げようと。

 

 

私がルースターズを聴いていた時期は極めて短く、ほんの数年間です。聴いた音源も、12インチ・シングル「ニュールンベルグでささやいて」「C.M.C.」、アルバム「DIS」「グッド・ドリームス」「φ」それからあと聴きで「インセイン」、この5枚です。それでも心にしっかりと刺さりました。

 

 

 

先ずはその「φ」(‘84年)。ここから遡ってみます。

 

 

 

 

このアルバムは、リーダー&シンガーで曲も書いていた大江慎也さんが在籍していたラスト・アルバムです。このアルバムでの大江さんは、病気の症状が悪化しており、曲作りや歌がかなり困難な状況で、アルバムの楽曲の大半はメンバーや外部ライターが書いています。あと、カバーも一曲。

 

 

にもかかわらず、楽曲&サウンドは、ルースターズそのものという感じで鳴っています。前作と前々作のヒリヒリ感が、ろ過されたようです。淡々として透明です。まさにこのエメラルド色のジャケットのような音。大江さんのボーカルも、魂が半分抜けたように虚ろなところも感じますが、それがまたプラスに働いています。一曲目「ヴィーナス」は名曲です。

 

 

 

その前作「グッド・ドリームス」(‘84年)。

 

 

 

 

割れたグラスが飛び散っていますね。。まさにガラスが割れたような音と歌です。一番よく聴いたアルバムです。タイトル曲「グッド・ドリームス」、何度聴いたことやら。。闇夜の中の一筋の光といった趣きを感じさせる曲です。

このアルバム、下山淳さんのギターのニュー・ウェイヴな響きが良いです。シングルで既発の「ニュールンベルグ」「C.M.C」も、こちらのアルバム・ヴァージョンの方が好きです。

 

 

 

最初に購入した「DIS」(‘83年) は何故か?見つかりませんでした。友人に貸したまま、戻ってこなかったのではないかと。。よくある話です。(逆に、関係が途絶えて借りっぱなしのもあります)

ジャケット・デザインは、急流の中で水に浸かって立っている、メンバーのシルエット。このアルバムと、12インチ・シングル「ニュールンベルグでささやいて」(‘82年) が、私がルースターズにハマったきっかけのレコードです。

 

 

 

 

「ニュールンベルグ〜」は、「インセイン」(’81年) から「DIS」への橋渡し的な一曲です。この曲で劇的に音楽性が変わっています。当時の音楽雑誌に「覚醒したルースターズ」とか書かれていました。まさにそんな音です。

この頃のジャケットには、まだちゃんとメンバーが写っています。ごく普通のデザインですね。

 

 

 

ところで、このジャケ写シリーズの前回のニュー・オーダーと今回のザ・ルースターズ、共通した大きな魅力があります。それは、ボーカルです。両バンド共、バーニーと大江さんの不安定なボーカルがとても魅力的。音にしがみついて、あるいは、落ちそうで落ちない綱の上で歌っているような、そんなところがいいのではと。

 

 

 

最後に「ネオン・ボーイ」(‘85年) と「ザ・ルースターズ・コレクション 1980−1984」(‘85年)。

「ネオン・ボーイ」は、大江さんが脱退、ギターの花田裕之さんがリード・ボーカルを担当した、初めてのアルバムです。このような経緯も、ニュー・オーダーと被りますね。

 

 

 

 

「ネオン・ボーイ」ですが、購入して、一聴して、「あ、全然違うバンドになった。」と感じたのを憶えています。作詞や作曲は、前作「φ」と同じで、バンド・メンバーも、ボーカルが抜けただけです。なのにここまで変わるものかと。大江慎也さんの存在の大きさをあらためて感じました。

それから数回しか聴いていません。(良くないという訳ではなく、単純に耳に合わなかったのでしょう)

 

 

「コレクション〜」は、初期の曲中心の、ベスト・アルバム。たしか「SAD SONG」は、ヴァージョン違いだったと記憶しています。

 

 

 

最初期の「ロージー」から、「ヴィーナス」まで、僅か4年間。彗星のように光り輝いて燃え尽きてしまった、この時期のザ・ルースターズ。こうしてジャケットを眺めながら文を書いていて、「φ」以外もじっくりと聴き返したいなと。追憶ではなくて、あらたな発見があるのではないかと、今更ながら思いました。