【2021年5月1日】新曲を制作していて思うこと 〜 肉体性を伴った音楽の復活とギター・ソロ

何度か書いていますが、私見で、’90年代のグランジ〜ミクスチャーを最後に、エレキ・ギターが世界のポップ・ミュージックの最前線、つまりヒット・チャートから姿を消しているように感じます。とはいえ、別にエレキ・ギターが弾かれなくなった訳ではなく、特定のジャンルでは、相変わらず多くのロック・バンドが日々ギターを鳴らしていますが。

 

 

特に、昔のヒット曲では定番的に弾かれていた「ギター・ソロ」が、近年ではすっかり忘れられて、過去の遺物のようになっています。私の10代〜20代前半の頃は、ロック=ギター=ギター・ソロ、で、私の住んでた田舎のロック少年たちは皆んなギター・ソロを練習していたものです。

何しろ、ギター主体曲では全然ない歌謡曲でも、普通にギター・ソロが入っていた時代です。

 

 

 

今どきの音楽は、プロでもアマでも、手弾きのロックでも生音の多いアコースティックでも、ほぼ100%、コンピューター・ソフトが介入しています。

ソフトによる制作の最大の魅力及び利点は、何と言っても「曲作りからマスタリングまでひとりで出来る」及び「テクニックがなくても制作出来る」ことではないかと、私も作っていて感じます。

極論すれば、練習、訓練しなくても曲想を練る想像力さえあれば、楽曲は作れる訳です。そんなこともあり、今どきのアーティストの「総インディーズ化」が進んでいるのでしょう。

 

 

それで私も日々ソフトで作曲していますが、ソフト音源ではどうしても物足りないところを感じることもしばしばあります。それが「肉体が奏でる音」です。

ギター・ソロは、そんな音の代表格。いいソロは、ギタリストが歌っているように聴こえます。

 

 

あと音に肉体性を加えるのに手で弾く以外の方法としては、サンプリング、があります。人力で叩いたドラムのビートや楽器のフレーズをサンプリングしてリズムやメロディにするという、ヒップホップの方法論です。

以上を踏まえて最近の自曲では、ドラムはサンプリング音源を使い、途中でギター・ソロを入れる、のパターンが多くなってきています。少しでも、肉体性を入れようかと。

今度の新曲も、そう。ギター・ソロのパートを増やそうかなと考えています。(もちろん、私には弾けないので、頼むことになるんですが、、)

 

 

 

ギター・ソロのどこが聴きどころかと言えば、フレーズ音自体もですが、それに伴う不安定なフィードバック音や弦の上を指が滑る際の摩擦ノイズなどです。これが実に魅力的に聴こえます。

昔は何とも感じなかった、レコード盤に針を落とす音・そのあと曲が始まるまでの数秒間のチリチリとしたノイズが、魅力的に聴こえるのと同様に。

 

 

おそらくですが、もう数年もすれば肉体性を伴った音楽が主流にと復活してくるような気がしています。もちろんそれは、コンピューター・ミュージックを踏まえた肉体性です。

そんな時代が来れば、ギター・ソロも過去とは違った形で復活するのではないか、そう思います。(予言というか儚い願望ですが、当たればいいなあ)

 

 

 

 

 

私の好きなギター・ソロはと言えば、パッと浮かんだのは、アズテック・カメラの「ジャンプ」(‘84年) コーダのロディ・フレイムさんのソロ。

ヴァン・ヘイレンの大ヒット曲のカバーですが、ヴァン・ヘイレン・ファンが呆れそうな?脱力アレンジと、後々のシューゲイザーにつながるような、ヴェルヴェット・アンダーグラウンド直系のノイジーなギター・ソロが最高の一曲です。画像はYouTubeで観たライブから。