【2018年1月16日】前回の続き 〜 ポップ・ミュージックのマジック

もう20年近く経ちますが、坂本龍一さんのピアノのインストゥルメンタル曲「エナジー・フロー」がヒット・チャートのNO.1になりました。インスト曲としては、オリコン史上初のNO.1ヒットで、累計で180万枚も売れたそうです。(記録はウィキペディアを参照)

 

 

TVのCMで火が付いたのだと記憶していますが、当時の坂本龍一ファンは誰もが「何でこの曲がNO.1ヒットに?」と思っていた気がします。私もYMO時代からのいちファンとして、この曲の泣きの入ったマイナー調のメロディは、ちょっとやり過ぎなんじゃないかと感じていました。
それでも、坂本さんの他のどの曲よりも売れたということは、つまりこの曲は、ファンでない人にも受けた訳です。

 

 

作曲者の坂本さんは、「売るつもりで作ったものが売れなくて、売るつもりがないものが売れる」(「音楽は自由にする」より) と仰っていました。「エナジー・フロー」は「ポップ路線などは何も考えずに5分で作った」(ウィキペディアより) そうです。まあ5分は言い過ぎのような気もしますが、確かに手癖で弾いたような曲です。

 

 
この売れ方は、一昨年流行った、ピコ太郎の「ペンパイナッポーアッポーペン」のパターンと似ています。それから、私の子どもの頃に社会現象にまでなった、子門真人さん「泳げ!たいやきくん」(’76年) とも。

 

 

「泳げ!たいやきくん」は、私が小学生の時に流行った歌です。子門真人さんのマネをしてよく歌っているクラスメイトもいました。
私もイントロから歌メロやバックの音など、細かいところも覚えている位で、今でも歌えと言われたら、ワンコーラスなら歌えそうです。同世代でフルコーラス歌える人もいると思われます。「ひらけ!ポンキッキ」で流され、すぐにリクエストが殺到したそうです (ウィキペディアより)。その頃のおやつにも、たいやきも多かったような気がします。
普通に考えて、楽曲の良さだけで、こんなにヒットはしないと思います。当時の時代背景その他、諸々の要素が重なっての現象なのでしょう。この辺、ちゃんと分析してみたら面白いと思います。

 

 

そして、この2曲にも共通して言えるのは、社会現象を巻き起こしたのは音楽ファンではなく、ごく普通の一般の人たちだという事です。

 

 
ごく稀に、宝くじの一等賞が当たるような感じで、こういう「何でこの曲が??」という曲が大当たりするところが、ポップ・ミュージックの面白いところではないかと思います。実際に歌っている本人は、ホントに宝くじに当たった感覚かもしれません。そしてそんな曲こそが、時代を体現しているのだと思います。

 

 

 

 
アニメーションをバックに「泳げ!たいやきくん」を歌う子門真人さん。当時は音楽出版会社に勤めるサラリーマンだったみたいです。