ジャーナリストで評論家の立花隆さんがお亡くなりになりました。
私が読んだ立花さんの著書で、一番心に残っているのは「宇宙からの帰還」です。この本は、12名の宇宙飛行士への、宇宙からの帰還後についてのインタビュー本です。
内容は省きますが (いろんなサイトにあらすじや感想文が上がっていますので、そちらでご覧下さい)、私が感銘を受けたのは、帰還後の宇宙飛行士たちは意口同音に「ヒトを超える何か」を語っていて、その後の人生が大きく変わっているところです。
宇宙好きの私は夢中で読んで、読了後茫然自失した記憶があります。名ばかりの大学生時代です。
音楽雑誌のインタビューだと、インタビュアーが自分内で、そのインタビューするアーティストのストーリーを持っていて、インタビューしながら無理矢理?その方向に持っていこうとする、そんな記事を昔よく目にしました。
それはそれでインタビュアーの読み物として読めば面白いのですが、インタビューされる側的には面白くないと思う人もいらっしゃったんじゃないでしょうか。「お前 (インタビュアー) の意見を読みたいんじゃないんだよ、という読者も多かったのでは (笑)。
あと、それと反対の、アーティストをヨイショするだけのインタビュー。
「宇宙からの帰還」は、作者の立花さんが、もしかしたら、こういうふう (「宇宙体験」とはある種の「霊的体験」であるという論) な結論に読者を導きたかったのかもしれませんが、それが嫌みに伝わらず、むしろインタビュアーの立花さんが、インタビューしながら一緒に驚いて思想が逡巡している様子が伝わってくるところが、実にスリリングです。我を通すでもなくヨイショでもなく、事実を冷静に積み重ねて、その中で考えれるように読めます。
立花さんは「知の巨人」と言われていましたが、基本的に好奇心旺盛で、知りたいことにはすぐに首を突っ込む「知のミーハー」的な人だったんじゃないかなあと。
50歳を過ぎてからめっきりと本を読まなく (読めなく?) なり、大量に持ってた本のほとんどをリサイクル・ショップに売ってしまいました。その中に、立花さんの著書も数冊ありました。
誰かが何処かで、私が手放したその本たちを手に取って、少しでも人生が豊かになっていたら嬉しいなあと、今思いました。
謹んで、お悔やみ申し上げます。