ローリング・ストーンズのドラマー、チャーリー・ワッツさんがお亡くなりになりました。
ローリング・ストーンズのファンはとんでもなく熱狂的な方が多く、私などはとてもファンと言えるほどではありませんが、「レット・イット・ブリード」(‘69年) 〜「タトゥー・ユー」(‘81年) の、中期ストーンズを熱心に聴き込んだひとりとして、一言記します。
私はストーンズに対して、当時よく言われていた「不良の音楽」にシンパシーを感じた訳ではありません。
私にとってのストーンズは、そのクールなビートと音像によるグルーヴです。
ローリング・ストーンズの演奏は、テクニックやスピードや音圧で圧倒するのではなく、空間的・幾何学的であくまでもクールです。クールなトラックだから、熱いボーカルが映えて聴こえます。
ローリング・ストーンズを時系列で聴くと、ストーンズの歴史は、白人が黒人の音楽を憧れ・取り込み、自分たちの個性にしていった、ロックンロールの洗練の過程が手に取るように感じられます。
しかもその洗練の仕方が面白く、歌も演奏も、下手なまま上手くなっていった (特にミックのボーカルは「上手い」と気付かないほど無茶苦茶上手い)、そんな感じです。下手なまま上手いは、日本人だと甲本ヒロトさんの歌にもそう感じます。
その進化を縁の下から支えていたのが、チャーリーさんのドラミングです。そして前述の、空間的な音像を造っていたキースのギターもまた、チャーリーさんのドラミングだったからこそ、だと感じます。
謹んでお悔やみ申し上げます。