【2018年1月6日】人間社会とAIの関係について 〜 羽生さんのお話から

先日のひふみんに続いて将棋の話。
将棋界の第一人者である羽生竜王に、国民栄誉賞の授与が決まりました。いち「観る将」の将棋ファンとして、とても嬉しいニュースです。
という訳で、今回は羽生さん絡みで。私も興味があり、当ブログでも何度か取り上げているAIの話。

 

 

お正月の1日の読売新聞での羽生竜王と藤井四段の特別対談、「『2018年の一手』を語る」のダイジェスト動画が公開されています。その中の、人間社会とAIの関係について、羽生さんの話が秀逸でした。
一部、聞き取ったものを文章に起こしました。

 
「つまり、そういうもの (AIのこと) に触れ続けていくので、より、より、そういうAI的なものに、人間の感受性みたいなものがなっていくので」
「でも本っ当は逆なんじゃないかっていう気もするんですけど (笑)」
AIの持っているものが、人間の感性の方に近づいていくっていうことが、本来の技術の進む、あるべき姿ではないかという気が、しないでもないですが、ええ (ずっと笑いながら)」
「ただこっち側 (人間の感性がAIに沿っていくこと) の方が簡単なんで、ええ、ええ (笑いながら)」

 

「でもこれ、難しいんです、やっぱり凄く」
「そこはまあ、これから先の課題みたいな感じなんじゃないでしょうか」

 

 

(太字は私が勝手に太くしました。羽生さんは一人で爆笑しながら語っていましたが、ポイントとも言える箇所です)

 
ところで、これはどういう事なんでしょうか。私なりに考えてみました。

 

 

今、トップクラスの将棋のソフト(AI)と将棋を指すと、ソフトは明らかに人には考えつかないような手を指して、人に勝ってしまいます。そして今ではソフトの方が人よりも強いので、棋士たちは皆、そんなソフトの手を研究しています。ソフトは相変わらず人の指し手にお構いなしに、勝手に学習してどんどん強くなっていきます…。
でも、もう少しソフトが進化すると、例えばソフトを使って研究する際、そのソフトは、その人の棋力や得意戦法・やりたい戦法や特徴(攻め将棋や受け将棋など)などを理解して、その人らしい指し回しのお手本として機能するようになっていくのでは。

 

 

羽生さんの仰る「AIが人間の感性の方に近づいていく」というのは、将棋でいうとこんな感じなのでしょうか。(誤読だったらスミマセン)

 

 

将棋に限らず、まさしく、人間とAIの現在の関係性を語った本質論ではないかという気がします。
音楽は将棋と違い、まだAIが素晴らしい作曲をする (将棋でいうと棋譜を創造する) にまでは至っていませんが、演奏に関してはとっくに人間を超えています。今後の音楽の世界にも当てはまっていく現象だと感じました。
それにしても、こういう話を中3の男子と普通に対談しているというのは…。やはり人類は着実に進化しているんだなあ。

 

 

 

 

 

 

爆笑しながら語る羽生さん。笑いながら語る内容でもないんですが、喋りながら何かが触れたのでしょうね。