【2018年2月11日】ちょっとだけ前回の続き 〜 最強のライブ・アルバムは? (前編)

昔のロック・アーティストで、ヒット曲が数曲、アルバムも数枚リリースした人たちは、大体がライブ・アルバムをリリースしていました。チープトリックのように、ライブ・アルバムで世界的にブレイクしたバンドもいます。

 

 

ライブレコーディングは、フィールドレコーディングと似て非なるものです。ライブの雰囲気をパッケージ化してリスナーに届けるのが目的のもありますが、実際は楽器の音と曲間の拍手などは別に録られていたり、演奏も後から差し替えられたりしています。
それでも、YouTubeなどなかった昔は、アーティストとの距離が近く聴こえるライブ・アルバムはとても貴重でした。私も当時好きだったアーティストのライブ・アルバムは、大体持っています。

 

 

 

 

そんなライブ・アルバムのパターンとして、大きく分けて2種類ありました。
一つは、ほぼ原曲に忠実な演奏を聴かせるもの。あと一つは、原曲の姿が大きく変わっているもの。これは、アレンジであったり長いアドリブを入れたり、歌詞を大きく変えたり追加したり、つまり、原曲と違う解釈をして、ライブで新しい曲として聴かせているということです。
私が好きなのは後者でした。
特に印象に残っているのは、佐野元春さんのライブ・アルバム「HEARTLAND」(’88年)。このアルバムは、通常のCDに比べて、数倍大きいパッケージに入っていました。

 

 

佐野元春さんと言えば、当時、飛ぶ鳥を落とす勢いのアーティストでした。音は、いち早くラップを取り入れたりポエトリー・リーディングしたりで、日本のロック/ポップスの最先端で (当時はJ−ポップという言葉はなかった) 、ロックだけどポップスで、本人はオシャレじゃないけどシティ派 (笑) 、なアーティスト・イメージを私は持っていました。初期はキーボードを弾きながら歌っていましたし。
その数年前には、FM「サウンド・ストリート」のDJもやっていて、それもよく聞いていました。

 

 

当時私はビデオレンタル店でアルバイトをしていたのですが、アルバイト仲間の、ジョン・レノン似のY君 (メガネはフチなし丸メガネ、ヘアも真ん中分けの頃のジョン・レノンそのまま) が佐野元春さんの大ファンで、このライブ・アルバムも、発売されるとすぐに、店のフロアで流していました。

 

 

ところがこのライブ・アルバムで聴ける音は、アレンジがそれまでのアルバムと全然違う、およそそんなイメージからは程遠くロックな感覚に溢れていて、何というか、「やられた!こんな人だったのか」という感じでした。
アレンジも原曲を大きく壊していてロックになっていて、これが実に痛快に聴こえましたし、何よりボーカルがアブナく、その余りに危ないボーカル・パフォーマンスの為、BGMには適していないと店長に判断され、店でこのCDをBGMにかけるのが禁止になった位です。
Y君は「ツボカワ氏 (5歳以上年下の高校中退のY君は、私をそう呼んでいた)、モトハルはライブ観んとダメだよ」と言っていました。確かに、今思うと観てなかったのがちょっと残念です。当時は洋楽派 (笑) だったので。

 
ここまで書いたところで、今回は長くなりそうなので今日はこの辺で。
ところで、このアルバム「HERTLAND」、画像をアップしようと探したのですが、見つかりませんでした。PCにも音源が見当たりません。書きながら、どうしても佐野元春さんのライブの声が聴きたくなり、YouTubeに上がっている映像を観聴きしましたが、どうも当時の感動は蘇ってきませんでした。残念です。

 

 

 


ライブで「カム・シャイニング」を歌う、佐野元春さん。佐野さんの曲の中でも、3本指に入る大好きな曲です。アルバム「ビジターズ」(’84年) に収録。「ビジターズ」は、ファンクなビートにラップが乗る、多分日本で初めてのヒップホップのアルバムです。
このライブ映像を観ると、曲はファンキーで、歌はラップですが、ヴァイブレーションは紛れもなくロックです。