【2018年5月28日】聴き返したアルバム その3 〜 細野晴臣「メゾン・ド・ヒミコ (オリジナル・サウンドトラック)」

しまってあったCDを、少しづつですが片っ端から聴いている毎日です。ジャケットが無事でやっぱりもう聴かないものは、リサイクル・ショップに売りに出そうと思っています。その山が日に日に高くなっていくのを眺めて楽しんでいます。大体どのCDも1曲目から最後まで聴いているので、かなり時間がかかりそうです。

 

 

そうやって聴いていて、聴き返してハマったCDの紹介の第3回目。これは、’05年公開の同名映画のサントラ盤。映画の主演は、オダギリジョーさんと柴咲コウさんです。
サントラといっても、いま聴き返すと、盟友である高橋幸宏さんとのユニット「スケッチ・ショウ」の続編の、エレクトロニカのソロアルバムのようです。購入して、おそらく1〜2回聴いてすぐに聴かなくなったのではないかと。全く聴いた記憶もなく、珍しくジャケットに円盤が入ったまま保存してありました。先日のミカドのこともありで、このCDは、見つけてすぐに聴いてみました。

 

 

そして、今聴くとすごくハマりました。こんなにいいのに、当時どうして琴線に触れなかったのかをブログネタにしようかと、考えてみました。

 

 

 

 

エレクトロニカを聴きはじめたこの頃、このジャンルの音楽のどこが好きだったかといえば、早い話がグリッチ・ノイズに耳が惹かれたからです。グリッチ・ノイズの音は、大袈裟ですが個人的には革命的に聴こえました。
どこが革命的かといえば、どこからどう聴いても単なるノイズ (雑音) であるにもかかわらず、ちゃんと構成されると、実に耳にやさしく響いたからです。エレキ・ギターの歪んだオーヴァードライブ音以来のノイズ楽器なのではないかと。(あ、スクラッチもあるか。。)

 

 

細野さんとユキヒロさんのユニットであるスケッチ・ショウは、このグリッチ・ノイズで音の骨組みが構成されています。それは、アルバムを重ねるごとに顕著になっていきます。
最後のアルバムとなった「ループホール」(’03年) では、それこそ、ほぼほぼグリッチ・ノイズのみで聴かせるといってもいいアルバムで、ミニマムな音像はヘッドフォンで聴くとたまりませんでした。スケッチ・ショウのアルバムの中では最もよく聴きました。

 

 

その「ループホール」の次にリリースされたのが、この「メゾン・ド・ヒミコ」のサントラです。(スケッチ・ショウのリミックスを挟んで)

 

 

スケッチショウは今聴くと、グリッチ・ノイズが若干鼻につき (耳につき?)、まだリリースから10年ちょっとですが、既に時代を感じさせる音となりつつありますが、このアルバムは全く風化していません。
エレクトロニカのタイム感をしっかりと感じさせつつ、グリッチやエレクトロニカ音響はかくし味的に使われていて、自己主張が強くなく、サウンドトラックという立ち位置がプラスに作用しています。スケッチ・ショウは、音像はエレクトロニカでしたが、曲想はポップスでした。いわゆる「聴かせる音楽」です。

この「メゾン・ド・ヒミコ」はサントラなので、その辺の束縛もなく、より自由な感じを受けます。耳を澄ますとエレクトロニカの音響が響いてくる、そんな感じです。

 

 

ともあれ、こうやって10年以上の時を経て出会えたこのアルバム、しばらくは毎日聴いていそうです。