【2019年5月26日】「80’s リバイバル」に思う

 

 

 

「舞踏会」「ひみつの言葉」そして先日の「八月に降る雨」。最近作る楽曲で、意図的にリバーブ(エコー)を効かせたドラム音を鳴らしています。

このドラム音は、‘90年代〜’00年代には「ダサい」とされていた、80’sサウンドの代名詞のような音です。

 

 

80’sサウンドは、私が20代の頃に慣れ親しんだ音で、それこそ骨の髄まで染み渡っている音です。

この80’sサウンドーードラムのエコーやヤマハDXの音色、オーケストラ・ヒット、等は、当時の本格派?のロック聴きには、実は拒否されていたサウンドです。

 

 

プログレ好きの当時の私の友人は、イエスやキング・クリムゾン、ピーター・ガブリエル等々、プログレの重鎮たちがポップな音に雪崩れていくにつれ、ロックを聴かなくなっていきました。そう。洋楽業界は、ポップスの時代になっていたのです。(当時のクリムゾンはポップというより、ニュー・ウェイヴの要素を盛り込んだ音で、私は好きでした)

 

 

 

それで、どうして一定期間経ったら、そんな「時代モノ」の音がリバイバルするんでしょうか。私はついこの前まで、いつの時代の音も一周したら新鮮に感じる人が多いので、一定周期で60’s、70’s、そして80’sなどが流行るんだろうと思っていました。

 

 

実際、そんな理由もありますが、別の理由も最近気付きました。

60’s、70’s、そして80’s のリバイバルの音を聴いて私が感じるのは、「真似」や「雰囲気なぞり」ではなく(そんなのも多いが)、「よい部分の抽出」です。

 

 

時間というのは一種の、ろ過装置のようなもので、時間にろ過されて残った音は、紛れもない「本物」なのでしょう。

60’sのディストーション・ギター音、70’sのローズピアノの音、80’sのデジタル・リバーブ、そしてTR808(リズムマシン)の音には、時代を超えた普遍性を感じます。だからいつになってもその音色を使って創作する人がいるのでしょう。

私が’80風の音(エコーをタップリと効かせたドラム音)にしようと思ったきっかけは、単純に気持ちよく聴こえたからです。

 

 

 

ネットにより時代が並列化・カタログ化され、ソフトにより音色が並列化された今の時代、10年後・20年後、どんな音が、「20’s風」と呼ばれているんでしょうか?(ちなみに、10’sサウンドは「ボカロ」ではないかと)