以前まとめて借りたCDのうち、ナイン・インチ・ネイルズ (以下NIN) を時々ですが聴いています。NINというと轟音のギター及びインダストリアル・ノイズがセールスポイントなのですが、私の耳はもっぱらその不条理な?メロディ・ラインを追ってしまいます。
不条理というと語弊がありますが、そのメロディは綱渡りしている人のように不安定です。とは言っても決してデタラメではなく、聴く度に美しく響きます。聴いているうちに、自分でもこのようなメロディを作ってみようかと考えました。おそらく幾つかのWEBサイトでは、コード進行が公開されていると思われますが、単に真似ても面白くないので一切観ていません。
私の耳で聴いた限りですが、NINのメロディの不安定さの要素を上げると。
① コードを構成する音ーー例えばCなら、ドミソ、Dならレファ♯ラ、を極力外してメロディが進行している (アボイドノートを使っているかどうかは聴き取れていません)
② フラットファイブ (テンションコードの一種でかなり濁った音) を、R&B的に差しで使うのではなく、普通にメロディのバックのコードに多用している
③ 上記を自然に不安定に聴こえるように歌いこなす、卓越した歌唱技術
④ メロディが普通なところは、バックのトラックがノイズや不協和音を鳴らしているーー普通のメロディが普通に聴こえない仕組み作り
そんなところかなと。そんなに聴き込んではいないので、あくまでも所感です。
結果的には、スタジアム・ロック的な一体感とは真逆の、孤独感・疎外感を感じさせる音になっていて、‘80年代の、ゲイリー・ニューマン、スロッビング・グリッスル、坂本龍一…等、ニュー・ウェイブのアーティストたちと共通するものを感じます。
という訳で、上記を頭に入れつつ作ったのが「NIN」(もちろん仮タイトル) です。作ったメロディを流していて、NINというより、ゲイリー・ニューマンっぽいメロディだなあと感じました。前作「円を描く」、前々作「うまく生きられない」同様に、チャレンジ的楽曲です。手探りで前進しながら、コツコツ作っていきたいです。