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【2021年1月25日】「川谷絵音が振り返る2020年の音楽シーン」を熟読して 〜 評論家顔負けの川谷絵音のポピュラー音楽評論

 

 

 

川谷絵音さんは「indigo la End」「ゲスの極み乙女」その他数バンドの演奏及び楽曲提供や、プロデューサー等で大活躍中のアーティスト。多忙な中で音楽評論も定期的に執筆されています。

これがまたどれも面白くて、この人の頭の中は一体どうなってるんだ?という感じです。

 

 

この記事、元は「Rolling Stone Japan vol.13」の特集企画「BEST OF 2020 2020年を語ろう」というインタビュー記事から。WEBのページ数で11ページ (!) あります。

私のように、音楽は好きだけど最近のシーンの最前線に疎い人が読むには、まさにうってつけです。途中途中で記事中の音源も上げていて、聴きながら読むと、より一層書いてあることが理解出来ます。私もこの記事を読んで・聴いて、すっかり’20年のシーンが分かったつもりになりました (笑)。

 

 

 

 

ところで最近というか数十年程、音楽雑誌を読まなくなったせいで、ミュージシャンのインタビューを読む機会もめっきり減ってしまいました。

たまに読むのはこのようなネットの記事ですが、いつも、読んで感心させられます。今どきのミュージシャンは、本当に深くものごとを考えているなあと。いや、嫌味ではなく、心底そう思います。私が若い頃のインタビュー記事と、全然違うなあと。そんなことを、この記事を読んでまた思いました。

 

 

これは、昔のミュージシャンは頭が悪くて今はいい、そんな短絡的なことではありません。

つまり今のミュージシャンは、インタビューや対談も表現活動の一部だと自覚して行なっているからです。そしてインタビューする側も、それを踏まえているからです。だから、内容が濃くなるのです。(昔は「お仕事」「インタビュアーのヨイショ」的なのが多かった)

この記事などまさにそんなふうです。

 

 

 

川谷さんは、J -POPが世界で聴かれるのはシティ・ポップしかない、的なことを以前から仰っていて、それはここでも語られています。

以前私がKing Gnuの「白日」を聴いた時。好き嫌いは別として「これは世界に通用するシティ・ポップ・バンドかも」と感じたのを思い出したり。(当時、King Gnuの曲は「白日」以外知らなかった。実は変なロック・バンドだったのを後から知った 笑)

 

 

それから、テイラー・スウィフトさんについて「… カントリーっていうジャンルが当時よくわからなかったんですが、そんなことは関係なくテイラーは歌が良いから聴くようになりました。」とか。私も同じこと書いてたなあ。

 

 

 

 

 

いろいろと共感出来るところも多く、また、考えさせられることや教えていただくことも多く、実に読み応えのある良記事でした。

 

 

【2021年1月24日】名前も顔も知らないけれど 〜 「生きざま」から解放されつつある表現

 

 

 

私の場合だと、、曲が結構出来上がってきて、そろそろ人前で歌おうかと思って、ふと考えたのが「名前」です。しかも、芸名など考えたこともなく、漢字・カタカナ・ひらかなの三択でした。

だって、「私」が歌うんだし、それ以外ないんじゃないか、と。

 

 

ところが今の時代、本名で表現活動を行なっている人の方が、圧倒的に少ないんですね。

以下、インタビューから抜粋。

 

 

 

「特に自ら情報を隠してきたということではないのですが、徹底的に作品重視でありたいと思っております。それと、音楽はしたいのですが、人前で歌うのがなかなか恥ずかしいのもあります」

 

「(素性を明かさないことのメリットは)年齢がいくつでも無理なく続けられることではないでしょうか。僕はまだまだですが、素性を明かさないことで今の時代才能ある方々には有利に働いていると思います」

 

ーー 以上、Unknown Kun

 

 

「(メディアに顔を出さないのは)恋人ができた時、どんな場所でも手をつないでデートしたいと思ったからです。世の中の女の子達と同じように過ごせなくなったら嫌だなーと。日常から溢れた気持ちを曲にしたかったので、普通の生活を守るためにも顔を隠すことにしました!」

 

「私の歌は物語の表現が濃いのが特徴だとおもっています。なので私の顔が出てない方が、みんながより歌の主人公に共鳴できるんじゃないかなーと思っています。あと、歌唱収録の当日に大きいニキビが顔にできた時、『顔隠しててよかったー』って思いました」

 

ーー 以上、コレサワ

 

 

 

私のように、自分の生きてきた足跡を辿ろう・総括しよう・そして残そう、と考えて (だから今まで生きてきた名前が必要になる) 表現活動を行なっている人もいれば、Unknown Kunさんやコレサワさんのように徹底して作品に拘りたいが故に、プライヴェートな情報をオープンにしない方もいる訳です。

 

 

 

今のネット社会・情報化社会、ちょっと有名になると最早プライヴェートなどあったものではありません。私は絶対に有名にならない自信 ( !?) があったから本名で活動していますが、芸名を付ける人々は、「売るぞ!」という覚悟があってのものではないでしょうか。(気の利いた名前・カッコいい名前を付けて、売れなかったら恥ずかしいじゃないですか 笑)

 

 

多くの匿名表現にオーディエンスは熱狂しているという状況は、数十年前では考えられなかったことです。思えばそんな時代の方が、アーティストにとってしあわせなのかもしれません。少なくとも、ファンに射殺されることは、絶対にないでしょうから。