【2018年9月29日】前回の続き 宅録あれこれ 〜 懐かしくは聴こえない、コイルの宅録ポップス

私が勝手に作った宅録の定義ですが、それは「自宅の空間の空気」が鳴っている事です。なので、今私が演っているような、PCソフトでのレコーディングは、いくら自宅で行なっていても、それは宅録ではありません。私の部屋で作っても、喫茶店にPCを持ち込んで作っても、同じ音です。宅録はあくまでも「プライヴェートな空間で奏でられた音」です。

 

 

宅録は、インディーズではよくありますが (私もそう)、実はごく僅かですがメジャーのレーベルからもリリースされています。

そんな数少ない、メジャーでリリースされた宅録アーティストの中で、私が入れ込んでアルバムを聴き続けていたのが、二人組の宅録ユニット「COIL」(コイル) です。1st.アルバム「ロープランド・ミュージック」が’99年のリリースなので、19年前です。

 

 

このユニットを初めて知ったのは、音楽雑誌 (雑誌名は忘れました) に付録で付いていたミニCDからです。早速探して購入をしました。2曲入っていて、その2曲は「キリギリス」「64」。「キリギリス」は、ノイジーなギターが気持ちいいロック、「64」は繊細でリリカルなミディアム・バラード。両曲ともにローファイな、いかにも宅録という音質なのですが、それがいい感じに心に響きました。

 

 

このコイルと同時期に、こちらは音楽ファンの間で大きくブレイクした中村一義さんの1st.アルバム「金字塔」も、ちゃんとしたスタジオで演っているにもかかわらず、宅録っぽい音ざわりを残した音質でした。

それが極めてプライヴェートな匂いのする曲とマッチしていて、当時は言及されていませんでしたが、中村さんの音像イメージをエンジニアさんがちゃんと理解して作ったんだなあと、今更ながら感心します。決してハイ・ファイな音ではありませんが、大音量で聴くとスコーンと突き抜けていく、そんな音像です。

 

 

ロッキング・オンの松村雄策さんが寄稿のコイルの1st.アルバムのライナー・ノーツによると、このアルバム制作にあたって、ビートルズの「ホワイト・アルバム」を意識していたそうです。

「ホワイト・アルバム」は、何度か当ブログに取り上げている程よく聴いたアルバムですが、たしかに言われてみれば、「ホワイト・アルバム」は、宅録の元祖のようなアルバムです。メンバーのプライヴェートな匂いが立ちこめています。だから自分はこのアルバムがこんなに気に入っているのかなあと、ライナー・ノーツを読みながら思いました。

 

 

自分がPCソフトで音楽制作を始めてから、PCソフトで作ったものを聴くのが減ってしまいました。ローファイな音を聴くとホッとしてしまいます。人の感性は中々にワガママというか、難しいものです。自分の事ながら。

 

 

 

 

散らばっていたのを集めました。もう数枚あったかと。一番上が、ファースト・アルバムです。今気づきましたが、中村一義さん「金字塔」のジャケットも「タバコ+灰皿」ですね。偶然だと思いますが。